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「それに、ヴィクトリア様と彼女のご両親、国王陛下に王妃様、私たちの挙式準備を進めてくれていた関係者各位、ひいては使用人の――」
「そのとおりだ。面目ない」
「どれだけ自分が影響力のある立場にいるかが、身に染みて分かったでしょう?」
「あぁ」
「それにしても――お祖母様が聞いたら、激昂しそうだわ。寿命が縮んだりしたら、ランスロットのせいだからね!?」
「本当にすまない。アン夫人には、直接謝罪に向かわせてほしい」
「慰謝料はた――っぷりいただきますからね? 高い授業料だと思って個人資産から払いなさい」
「……わかった」
「それで? ヴィクトリア様はどちらに? どうせ近くで待機させているんでしょう?」
「向こうで待たせている」
「あ、そう。じゃあ、ちょっと行ってくるわ」
「っヘレナ!? 彼女は何も悪くないんだ。手荒な真似は――」
「他人の婚約者を寝取った女が、何も悪くないはずないでしょう! 馬鹿なの!?」
私――ヘレナ・ラッスルの16歳の誕生日に、婚約者である第一王子のランスロットに王宮へ呼ばれ告げられたのは、婚約解消のお願いだった。
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