457人が本棚に入れています
本棚に追加
「も、申し訳ございませんっ」
「ヘレナのことは、俺が責任をもって何とかするから」
「へぇ――。ランスロットが責任をもって私の将来を何とかしてくれるんだ。どういうふうに? あてでもあるの?」
「いや、それは、今から……そうだ、ヘレナの理想って、筋骨隆々の騎士系だったよな?」
「……なんで知ってるのよ」
「よく言ってたじゃないか。昔、助けてくれたヒーローに憧れてるって」
「……変に記憶力がいいんだから」
そう。
今から6年程前。アングレア王国とネウステリア帝国とが激しく戦っていた頃。
国境沿いの領地を治めているサーフォーク公爵の一人娘だった私は、人攫いにあったことがある。
孤児院を訪問していた時、戦の混乱に乗じてやってきた賊に攫われて、他の子どもたちと一緒に両手両足を縛られた格好で小さな小屋に閉じ込められたのだ。
大声を出して抵抗すると、脅しのために皆の前でヒュッと剣を一振りされ、額に冷たい感覚が走ったのと同時に、意識を手放した。
「……か?」
「大丈夫か?」
最初のコメントを投稿しよう!