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第2話 最愛の祖母の死。そして、帝国皇太子との婚約
あれから2か月が経った。
婚約の解消――本来は婚約破棄が妥当だが、ランスロットとの腐れ縁を考慮して婚約解消という穏便な方法で落ち着くことにした――に関連するあれこれに忙殺されていた私に、さらなる悲劇が襲った。
みんなが「アン夫人」と呼び慕っていた最愛の祖母が、突然亡くなったのだ。
婚約解消に関わる様々な手続きを済ますために王宮へ行っている間の出来事だった。
「私が、『寿命が縮まる』だなんて、変なこと言っちゃったからだ……」
暗闇の中に一人置いていかれたような気分だった。
ランスロットはヴィクトリア様との挙式を1か月後に控えているというのに、公爵領までとんできて、葬儀が終わるまでずっと私の側にいてくれた。
口には出さなかったけれど、婚約の解消で心労をかけたせいだと、心から悔やんでいるようだった。
「それとは関係ない。天命だったのよ」
そう声をかけてあげられるほど、私は大人じゃなかったし、幼馴染でもある大事な友人を思いやれるほどの、心の余裕も持ち合わせていなかった。
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