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第1話 突然の婚約解消
アングレア王国、王太子殿下の私室――
「ヘレナ!! このとおりだ。私たちの婚約を解消してほしい」
「……『折り入って話がある』って、もしかして、このことだったの?」
「謝って済むことではないと思っているが……本当に、すまない。俺にできることは、何でもする」
「国王陛下や王妃様の許可は得ているの?」
「昨日、話をしてきた」
「――だったら、私から言うことは何もない」
「……許してくれるのか!?」
「許すも何も、私が拒否したところで、婚約の解消は確定事項なんでしょう?」
「ヘレナ……何と言ってよいのか」
「そこは『ごめんなさい。ありがとう』でしょ。それで? どうして結婚式の3か月前になって突然こんなことを言い出すわけ?」
「くっ……コールネイ侯爵令嬢に、子ができた」
「はぁ――!? 妊娠させちゃったの?」
「……」
「信じられない」
「本当にごめん」
「誰に対する謝罪よ!?」
「ヘレナ」
「それだけ?」
「ヘレナと、アン夫人」
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