寒くても

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寒くても

寒いのは苦手 だって、爬虫類だって、熊だって冬眠するでしょ? 俺はそういうタイプなの 「騙されたと思って」 君の言葉に騙されたふりをして助手席で毛布にくるまりながら、爆睡してた 目を覚ますと銀世界 白以上に白い 薄目をあけながら、倒していたシートをゆっくりと起こす 「ちょっと歩くけど」 そういって、君は手袋を渡してくれた 温かい飲み物あるけど どれがいい?と レモンティーとミルクティーとカフェモカをさしだす君 しっかり目を覚ましたくてカフェモカにしてみた 「あったかくしていこう」 君はマフラーを巻いてくれた 完全防備でも肌がピリピリする ここまでして来る価値あるの? 正直、眠いし寒いし、乗り気じゃなかったから、足取りもイライラが隠しきれてなかった 寒いと惨めな気持ちになってしまう 悪い癖 積もった雪は膝下まで冷たさを容赦なく感じさせてくる なんで?寒いの苦手なの知ってて こんなところに?? もし、君が嫌いな食べもの無理やり食べさせられたとしたら嫌じゃないの? それと同じじゃないの?これ モヤモヤしながらも言葉にはできず、その分歩き方に如実にあらわれて 「あと少しだから」 そんな俺の態度に気づいてか気づいてないのか にこにこしながら手をひく 何が楽しいの? 俺をモヤモヤさせて 段々泣きたくなってきた 「ついたよ」 ずっと足元しか見てなかった 静かだった 音がしない音がした 目の前に広がる景色 さっきまで森の中だったよね? 思わず後ろを振り返る 突然視界が開けて 静かな湖畔にたたずむ自分が俯瞰される きれい、、、 白い息とともに言葉がもれる 「でしょ?人が少ない時間にと思って」 うん、、、 雪の白と木々の黒とのコントラスト 水面に映る景色 遠くに佇む山々 俺はしばらくそれぞれを堪能していた 息をするのも忘れるほどに 「ごめんね、どうしても一緒にみたかったんだ」 俺は息をふきかえす ありがとう ぜったいに1人だったら見られていない景色だった 嫌いなこと 苦手なこと 君となら楽しめそうな気がした 寒くても 作:mogulist 読み:すたろー サムネイル画:よう
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