あなたは誰の人生を生きているの?

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
 よく小説などで、があるだろう。特に男女の入れ替わりものは人気で、社会現象にもなった映画もあるほどだ。  その入れ替わりものについて、最近不安に思っていることがある。  入れ替わりとは、相手の体に入ることだ。つまり脳みそも入れ替わり先の相手のものになるのではないか?  感情や思考が脳によって作り出されているのなら、入れ替わる前の人——仮にAさんとしよう。Aさんの心はBさんの体と入れ替わった時点で、存在しないのではないか? と。  Bさんと入れ替わったAさんは、Bさんの脳を使う。それは今までのBさんの記憶や思考や感情を、まるきり継承する、ということ。  逆も然りで、BさんもBさんで、Aさんという人間の全てを継承する。  こうなってくると、そもそも本人らはと認識すらしていないのではないか……。  互いが互いを完璧に受け継ぎ、自分も周りの人間も、入れ替わりが行われた事実に気づかず、滞りなく生涯を送る……。  入れ替わりは、フィクションではなく、現実にそれも日常的に行われていることではないか……。  私たちは、常に誰かの体と入れ替わり続けているが、そうとは認識できずに平然と毎日を過ごしているのではないか……。  フィクションでは、ぶつかった拍子に入れ替わってしまった、という流れが王道だが、あなたは最近、誰かとぶつかったことはあるだろうか?  あなたは誰かと入れ替わっていないか?  無意識のうちに、他人の人生を受け継いではいないか?  あなたは本当に、生まれた時と同じ人間だと言えるだろうか?
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!