First note 返り咲き

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   冷たい冬の降雨の中、傘もささず、道路の縁にただへたり込む春樹。ただでさえ視界の悪い暗雲下の大通り。誤って車道に倒れ込みでもすれば、間違いなく無傷では済むまい。 「何でだよ…何でこんなことに!」 周囲の目など構いもせず、大声を張り上げてアスファルトを何度も、何度も両手こぶしで叩きつける春樹。真っ白なパーカーは泥まみれとなり、遠目からでもかなり汚れが目立つほどの荒ぶり方であった。  視点は、春樹のいる場所からゆっくりと車道方向へと流れていく。大破した白いステーションワゴンが1台。ボンネットはめくれ上がり、エンジンルームの至るところから煙がでている。フロントガラスは大破し、道路のいたる所に破片が飛散している。運転席には、ハンドルからずれ落ちた細い女性の手が、血で染まり、ただそこに垂れ下がっていた。  
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