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坂本春樹、3 3歳。彼には幼少期の記憶がない。アルバムというものも、彼の家系には存在しない。過去に何があったのか、母親は一切話はしないが、父親がいない理由も、春樹には分からない。だが、それを知りたいと思ったことなど、彼には一度もなかった。自分に興味がないだけではなく、家族にも興味がなかったからだ。そのため、親が話すつもりの無いことを、わざわざ自分から聞き出す必要もないと考えていた。さておき、春樹にはひとつの特技があった。それは、春樹の記憶ある限り、小学生の頃からで間違いはない。
「すっげぇ!」
「はる、僕にも作ってよ!」
「なにこれ!なんで浮いてるの!?」
「あんまり酷いことすると壊れる
から、優しくだよ?」
小学2年生の夏、理科研究で、春樹は初めて電子工学に触れた。春樹の人生試作品第一号は、ドローンだった。そう、彼は天才科学者の卵だったのだ。そして、現在に至る…。
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