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クリスマスの情事
「いや……ちょっと高校時代のことを思い出してて……」
そう春人が言うと、凌は、口の端を上げてニヤリと嗤った。
「ああ、いろいろあったな」
そう言った後、不思議そうに、クリスマスの飾り付けがされた辺りを見渡して言った。
「あれ? 綿実ちゃんと一緒じゃないのか?」
「ああ、綿実さんは、今、美容院なんだ。クリスマスは一番きれいでいたいんだって」
春人は答えた。
「女の子にとって、恋人と過ごすクリスマスは、特別なんだってさ」
「へえ、そんなもんかねえ……」
凌は、つまらなさそうに言った。
「凌こそ、美海さんと一緒じゃないの? クリスマスイブなのに。ああ、この後、会うの?」
春人が訊くと、凌はまた、ニヤリと口の端を上げて嗤った。
いつものように。
「この表情がセクシーなの」
そう、美海さんは言っていたっけ。
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