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その時、凌は高校一年生だったが、もうすでに、身長は185センチを超え、剣道をしていたので、国体選手にも選ばれていた。
容姿も、短髪の黒髪に、一重の鋭い目つきで、ただものではない雰囲気を醸し出していたので、女子生徒のファンも多かった。
それになおかつ、進学校で、トップの成績である。
しかし、その本郷との事件を起こしてしまい、退学処分になるところを、凌の学校が、凌を将来の東大現役合格者として見なしていたので、その事件をもみ消した。
凌は、学校を辞めると言い出したが、両親と学校の校長が、必死になって止めた。
もちろん、春人もだ。
どうにか、春人の説得で、学校に残った凌だったが、あの本郷を半殺しにしたという噂は、流れ、他校の不良からも、怖れられる存在となった高校時代だったのだった……。
「春人、何、ボーっとしてるんだよ」
そう声を掛けられて、春人が振り向くと、凌だった。
春人は夕方のオープンカフェで、コーヒーを飲んでいたのだ。
中央官庁の仕事帰りの凌は、カーキのトレンチコートにスリーピース、磨き上げられたダークブラウンの革靴で、まるで、男性ファッション雑誌から抜け出してきたようだった。
<西嶋 凌>
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