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酔っている晶子さんの肩を抱いて歩いていると、右側に人だかりが見えた。見に行ってみたら酔っ払いが倒れていた。周りの会話から救急車はもう呼んであるとわかった。酔っ払いは揺すられても動かない。急性アルコール中毒…なのかも知れない。
「助けなきゃ」
長い髪を縛りながら晶子さんが走り出した。
「え?晶子さん⁈」
バッグを地面に置き、中から出したスプレーを手に吹きかける。アルコール?
「え⁈」
晶子さんは揺すっていた男を押し退け酔っ払いを横に向けた。背中を叩き、そしてためらいなく口に指を突っ込んだ。
「ちょ…」
周りもざわざわしていた。酔っ払いの口から吐瀉物が吐き出された。連れが飛び退いた。晶子さんは酔っ払いに話しかけながら背中をさすり続けていた。酔っ払いが少し動いた。晶子さんは吐瀉物が詰まって息ができていないのに気づいたんだ…。
「マジか…」
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