Dear my…

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 ライブ当日、会場は千人弱の客で満員だった。  ざっと見た感じ女性が8割くらい。  純弥はアイドル売りをしている訳では無いけれど、手製のうちわを持参しているファンが目立つ。  3ヶ月前に某飲料メーカーのCMにタイアップされた影響で男性ファンも増えつつあり、とても嬉しい。  純弥は昔からMCに()けていて笑いを取るのが上手い。  見た目の良さに甘んじる事なく無茶振りにも全力で挑む。  そして何より抜群の歌唱力。  もっともっとみんなに知って欲しい。  ずっと輝き続けていて欲しい。  そして、いつかまた彼の言葉で……。 「キャー‼︎今こっち見たぁー‼︎」 「いやぁぁー‼︎手振ってくれたー‼︎」  女子達の黄色い歓声があちこちから聞こえる。  今後の活躍に大いに期待したい。 …とでも纏めようかな。  終盤のバラードで純弥と目が合った様な気がした。  そんなわけないのに、ちょっと気恥ずかしかった。  帰りの電車に乗ってしばらく経った頃、純弥からLINEがきた。 『いたね‼︎見えたよ』  思わず混雑した車内で絶叫するところだった。  汗ばんだ手のひらで口を抑え心が落ち着くのを待った。 「ヤバい」
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