Dear my…

14/47

22人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
ライブ当日、会場は千人弱の客で満員だった。ざっと見た感じ女性が8割くらい。純弥はアイドル売りをしている訳では無いけれど、手製のうちわを持参しているファンが目立つ。3ヶ月前に某飲料メーカーのCMにタイアップされた影響で男性ファンも増えつつあり、とても嬉しい。 純弥は昔からMCに()けていて笑いを取るのが上手い。見た目の良さに甘んじる事なく無茶振りにも全力で挑む。そして何より抜群の歌唱力。 もっともっとみんなに知って欲しい。 ずっと輝き続けていて欲しい。 そして、いつかまた彼の言葉で……。 「キャー‼︎今こっち見たぁー‼︎」 「いやぁぁー‼︎手振ってくれたー‼︎」 女子達の黄色い歓声があちこちから聞こえる。 今後の活躍に大いに期待したい。…とでも纏めようかな。 終盤のバラードで純弥と目が合った様な気がした。そんなわけないのに、ちょっと気恥ずかしかった。 帰りの電車に乗ってしばらく経った頃、純弥からLINEがきた。 『いたね‼︎見えたよ』 思わず混雑した車内で絶叫するところだった。 汗ばんだ手のひらで口を抑え心が落ち着くのを待った。 「ヤバい」
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加