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相原に見送られてエレベーターに乗る。
「では、お気をつけて」
そう言って俺に紙を渡してきた。
扉が閉まる。開ボタンは押さない。
紙には電話番号と『話をしたい』と一言書いてあった。
その後、3本の取材を終えてから相原に電話をかけた。
「もしもし…宮瀬です」
「うん。会える?」
「…はい」
呼び出されたのは客が男ばかりの居酒屋だった。
先に来ていた相原が手を上げて俺に合図した。
「さっきはどうも」
「はい」
「生でいい?」
「…はい」
相原は店員と少し談笑していて、俺はそれをぼんやり聞きながらビールを飲んでいた。店員と話し終えた相原が柔らかく笑いながら静かな口調で言った。
「こじれてんね…」
「…」
晶子さんは相原に何でも話してるんだな…。俺も、そういう存在になりたかった。自分でダメにしたくせに。
「あいつ、好きだと思うよ」
「え?」
「宮瀬君の事、高校生の時からずっと。再会してから…もっと?」
「…でも、泣いてました」
「…」
「もう近くにいられないなら、せめて仕事だけでも繋がっていたかった…ですけど」
「ごめんね、俺で。すげぇ顔に出てたぜ?」
「…すいません」
「…ムリなんだよね」
「え?」
「あいつはもう宮瀬君には会わないつもり」
「…」
「藤峰は恋愛はしない」
「…?」
ふーっと長い息を吐いてから
「あいつバカだから、俺…話しちゃうわ」
相原が晶子さんの事を話してくれた。
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