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3年前、晶子さんの目の前で彼氏が事故に遭って亡くなった。
少しずつ死に向かっていく彼の姿を、彼女は何もできずに見ていた。
その日からずっと…晶子さんは自分を責め、後悔の日々を送っている。
出版社に勤め出し、救命講習を取材したのをきっかけに普通救命、上級救命と可能な限り通い、今でも認定証を維持している。
バッグの中にはいつも、人工呼吸用のポケットマウスピースを入れているのだそうだ。
"助けなきゃ"
晶子さんの決意に、勇気に、優しさに…胸が潰れそうだ。
「幸せになって欲しい」
「…はい」
「してやって」
「でも俺…」
「あんな気合いの入ったラブソング、本人に届いてないわけないだろ?」
俺は涙を拭いてジョッキを空にした。
携帯を操作していた相原が
「まだ会社にいるよ」
と携帯画面を見せてくれた。
「行きます‼︎」
俺は晶子さんの所へ走った。
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