低空飛行

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 晶子さんが泣き止むまでずっと抱きしめていた。愛しくて胸が張り裂けそうだ。  泣き声がやんで暫くすると、俯いたままの晶子さんが思いもしない一言を放った。 「ありがとう。帰って…」 「……やだよ」 「ムリだから」 「は?」 「こんな顔、見られたら…」 「…しょーもな」  ふんッと鼻で息を吐く。 「またやってる…」 「見せてよ、顔…」 「鼻水」  デスクのティッシュを数枚引き出し晶子さんの手に渡すと、両手で鼻を挟んだ。 「晶子さん」  両頬に手を当て上を向かせると、ティッシュで鼻を挟んだまま、きょとんとした顔をしていた。 「ちょっと‼︎」 「好きだよ…晶子さん」  晶子さんが勢いよく鼻をかんだ。 「今かむ⁈」  ティッシュを捨てて、指先で涙を拭いた後 「好きだよ…純弥」  だなんて、更に予想外な事を言う。  ふいうちに驚いて固まる俺に、晶子さんはキスをして…  それから  ふんッて鼻で笑った。
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