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「初めまして、担当の藤峰です。よろしくお願い致します」
「…宮瀬です。よろしくお願いします」
朝晩はまだ少し肌寒い3月中旬。
時刻は午前9時。
ぺこりと頭を下げる彼は少し眠そうに見える。
ゴールドアッシュの髪にシンプルな黒のハイネック。左手中指にこれまたシンプルなシルバーのリング。
しかしながら圧倒的な存在感…。
携帯画面を見る伏し目がちな角度に、私は思わず息を呑んだ。
「私、宮瀬のマネージャーの井田と申します。本日はよろしくお願い致します」
「頂戴致します」
マネージャーさんとの名刺交換を終え、向かい合って席に座る。
「この度は取材をお受けいただきありがとうございます」
「こちらこそありがとうございます」
今日の取材相手は宮瀬純弥というデビュー2年目の23歳の歌手で、実は…私の推しだったりする。
私は某出版社の入社3年目の正社員で、現在web版を担当している。
今回念願叶って企画が通り、今日という日を迎える事ができた。
「では、始めさせて頂きます」
いざ…
ボイスレコーダーのスイッチを入れた。
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