Dear my…

1/47
前へ
/53ページ
次へ
「初めまして、担当の藤峰です。よろしくお願い致します」 「…宮瀬です。よろしくお願いします」  朝晩はまだ少し肌寒い3月中旬。  時刻は午前9時。  ぺこりと頭を下げる彼は少し眠そうに見える。  ゴールドアッシュの髪にシンプルな黒のハイネック。左手中指にこれまたシンプルなシルバーのリング。  しかしながら圧倒的な存在感…。  携帯画面を見る伏し目がちな角度に、私は思わず息を呑んだ。 「(わたくし)、宮瀬のマネージャーの井田と申します。本日はよろしくお願い致します」 「頂戴致します」  マネージャーさんとの名刺交換を終え、向かい合って席に座る。 「この度は取材をお受けいただきありがとうございます」 「こちらこそありがとうございます」  今日の取材相手は宮瀬純弥(じゅんや)というデビュー2年目の23歳の歌手で、実は…私のだったりする。  私は某出版社の入社3年目の正社員で、現在web版を担当している。  今回念願叶って企画が通り、今日という日を迎える事ができた。 「では、始めさせて頂きます」  いざ…  ボイスレコーダーのスイッチを入れた。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加