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「うわっ！？何だコレ！オイ！これオレのお気に入りの服までぐちゃぐちゃにしやがって！！」
初めて作った巣を見て、僕の番が言ったのはただの罵倒だった
「サイアク！今日着て行く予定だったのまでこんなんかよ。さっさと片付けろよ、ノロマ！
ホント、お前と居るとイライラする」
今日も朝から苛立っていた
僕が発情期になってしまったから…
怒りをぶつけるように、ガンッと部屋が揺れたのではないかと錯覚するほど強く壁を殴る
廊下にある物を蹴散らし、小さめのゴミ箱をサッカーボールのように蹴り上げ、壁にぶつかってゴミが散らばる
ヒートのせいで身体は火照り、頭がボーっとしていたが、彼が怒っているのに気付き小さく縮こまって震える
どれだけ番相手である彼を求めても応えては貰えないのはわかっているから
ただこれ以上怒らせないように、怒られないように静かにするしかなかった
満たされない身体に熱が篭もってしまうのを小さく蹲って堪える
初めて彼と自分の為に作った巣は、褒められることも入ることも許されず、ただ「汚い」「サイアク」「フェロモン臭い」と言われ、早く片付けろという命令をされてしまう
愛されていないのはわかっている
でも、番を解消されないから少しだけ期待してた
巣を作れば…、彼と一緒に入れば…
いつかは、僕のことを好きになってくれるって...
身を切られるような思いで、作った巣を少しずつ崩していく
一度も入ることの出来なかった巣
見向きすらしてもらえなかった巣
僕の初めて作った巣
服を一枚ずつ拾い集めていく
涙が止めどなく溢れ、心が痛い
「こんなんが番とか...あの時、お前が発情期にならなきゃこんな事にはならなかったのにな！お前がオレの番なんて絶対認めない！ホント、お前なんてさっさと捨ててやりたい」
片付けをしている最中もずっと罵倒され続ける
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
涙が溢れ出しながら、ずっと謝ることしか出来なかった
ガシャンッ！！
テーブルに置いていたお揃いのカップが破られるのを見て、また殴られるのではと、怖くて慌てて巣だったモノを抱えて脱衣所に走る
「臭くてイライラする！！この臭いどうにかしろよ！」
服を洗濯機に入れながら、彼の怒鳴り声に「ごめんなさい」と繰り返し呟くことしか出来なかった
洗濯を回しながら、彼が落ち着いてくれることを願っていると、扉がバタンっと大きな音を立てて閉まるのを聞き、何処かに遊びに行ったのを知る
「また、ひとりぼっちか...」
グルグル回る洗濯機を眺め、彼の匂いがする服が全部洗われていくのをひとり寂しく見詰める
ひとりにするなら、巣を片付けたくなかった
巣の中で過ごしたかった
彼に、褒めて欲しかった
また、番の居ない、耐え難い7日間をひとりで過ごすことにひとり寂しく涙を流した
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