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まだ空は明るく、定時よりも大分早くに帰って来られたことに安堵する 「雪兎、寂しがって泣いてなければいいが…」 彼を驚かせないようにこっそりと静かに部屋に入る 家中に甘い匂いがほんのりしているのに、リビングにも自室にも雪兎の姿はなく、また寝室に篭ってしまったのかと音を立てないように寝室の扉を開け中の様子を伺う 「あれ…?ここにも居ない?」 ベッドに居ると思っていたが、そこにも雪兎の姿がなく、不安が募る まさか、何かあったのか? 冷や汗が落ちるのを感じ、慌てて外を探そうと思った瞬間、隣の部屋から微かに声が聞こえる 「………だ…、ダメ…」 見つからないようにこっそりと衣装部屋を覗くと、自分の服を愛おしげに見つめる彼を見つけ安堵する ここに居たのか… 俺の服を見てるってことは、やっと巣作りをしてくれるのか? 今までずっと期待しては作ってくれなかった雪兎の巣 それを自分の服でやっと作ってくれるのかと嬉しくなり、その様子を静かに見守ることにした 「これは、シワになっちゃう...こっちは、高そうだから汚しちゃ、ダメ…」 また熱がこもっているのか、火照って赤くなった顔で服を物色しながら何か呟いている その姿はどこか我慢して服を選んでいる姿のように見え、違和感を覚える 10分程、吟味して選び出した1枚を手に取り、大切そうに抱きしめている 皺になり難く、比較的安物のワイシャツ あんなモノがいいのか?1枚だけで巣を作るのだろうか? それとも、まだ、何かあるんだろうか… 過去の番相手に酷くされたとは聞いていたが、思い出して傷付く姿を見たくなくて、詳しくは聞けずにいた 触れることにも、キスをすることも、抱き合うことすら怯えていた雪兎 もしかしたら、巣作りでも何かあったのか…? クローゼットの前に座り込み、選んだワイシャツを大切そうに抱き締めている姿に胸が締め付けられる 今すぐ抱き締めて、いっぱい口付けをしてやりたい もっと深く繋がりたい あの白く細い首に噛み付きたい αの本能がつい出てしまい、フェロモンが溢れ出してしまう
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