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スケジュールは一年以上先まで埋まっている。でも全く空いてる時間が無いわけじゃない。俺は半日オフが午後から、翌日午前にかけてつながるその日を見つけた。てことは、丸一日オフだ。
”この日に来て。飛行機のチケットは送る。ホテルはこの名前で予約しとく。待ってるから”
ほぼ箇条書きのメールをして、準備したチケットをハナに送った。ハナが仕事の可能性が大きかったけど、来なくて振られるならそれまでだ。
ハナからの返信メールを受け取った。三年ぶりに彼女がメッセージをくれた。
メールを開くのにすごく緊張する。
開くとそこには、会った時と変わらないハナがいた。
”見つかったらどうするのよ!バカじゃないの?!”
また俺に怒ってる。でも来てくれるんだ。あの頃どんな風にハナを好きだったかを思い出した。
今と同じ気持ちだ。長かった。やっとハナに会える。
「ユウトさん、折り入って話があるんですが」
「お? どした」
「例の件なんですけど」
他のメンバーもいる。これで通じてくれ。ユウトさんはじっと俺の目を見て口を開いた。
「お、おー!あの件な。じゃあまた俺んとこ来るか。じゃあ二十三時に」
「よろしくお願いします」
指定の時間にユウトさんの制作室に向かった。
「で、どうなったんだよ」
「国外か。考えたな。またつきあうのか?」
メッセージのブロックも解除してくれたから、以前と変わらずに連絡をするようにしている。でも、
"俺は別れたつもりは無いから。やり直そう"
というメッセージには、返信が無かった。そのまま流れていった問いかけの返事は、直接聞こう。
「ま、会って話さないと埒あかないだろうな。三年も離れてたんじゃ」
ユウトさんに相談したのは、韓国で彼女のいるホテルに行く算段だった。
「買い物行く体で出ようぜ。で、途中で着替えろ」
俺は目立たないビジネススーツを買って、荷物に詰めた。
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