滲み出て香るダシの想い

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滲み出て香るダシの想い

「えっ!?」 「…って、言ったら困るか?」  思いもよらない発言にオニリーヌは目を見開き、手に持っていた荷物が床に落ちた。 「オニリーヌと離れたくない、トリムネとの将来が約束されていたからずっと言えなかったが、俺は君が好きだ、結婚して欲しい」 「そ、そんな…。」 「嫌か…?」  荷物を持っていた手を優しく握り、ダーシュレイがオニリーヌをじっと見つめる、180はゆうに超えているでろう長身の彼が片膝を突き、顔を赤らめながら小柄な彼女に懇願するような目を向けている。  普段、鋭い目つきで周囲から怖がられてしまう彼からは想像もつかない表情にオニリーヌは不覚にもキュン、と胸をときめかせてしまった。 「そ、そんな貴方との結婚なんて…急に言われても。」 「なら恋人でもいい、それでも慣れないなら友だちからにしても。」 「でも、私…トリムネ様のことをまだ引きずっている部分があるし…貴方を孤独な気持ちを埋めるためだけに利用してしまうかもしれないわよ。」 「それでもいい、オニリーヌがそばにいてくれたら。」 「っ…なんなのよ、それ…。」  …どれだけ私のことを好きだったのよ。 内心でオニリーヌはそう呟き、どう返そうかダーシュレイから目を逸らして考えた。  自分はこれまでダーシュレイを友人という枠組みの中で見ていた。 そんな彼を自分が都合よく利用してもいいのだろうかという気持ちと、ずっと想っていたトリムネへの恋心が打ち砕かれた際に生まれた孤独感が彼の愛にひくついている。 「ダーシュレイ…本当にこんな私でいいの?」 「勿論、君以外俺は誰もいらない。」 「っ…。」  ダーシュレイのその言葉にオニリーヌの中で後者の孤独感が我慢できないと叫び出した。 そして、最終的にオニリーヌは嫌になれば別れればいいと思い、婚約はしないも、恋人にはなる、と彼の想いを受け入れたのだった。
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