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ダシ色に染まった玉ねぎ
「トリムネ様!探しましたよ!無事、オニリーヌ様は了承してくださいましたかっ?
…って、オニリーヌ様!?」
「なっ、トリモモ!?お前…なんでここに!」
「お前は…トリムネの執事!」
「ええっ!ダーシュレイさん!?久しぶりすぎる!わー相変わらずかっこいいなぁ、お元気でしたか?」
「そんなことより今はオニリーヌを助けてやってくれ!」
「あ、そうですね!すみません!」
ダーシュレイにそう言われて気絶したオニリーヌのそばに駆け寄るのはトリムネの幼馴染にして執事のトリモモだった。
「あー、気絶してますね…待ってくださいねチキンのエキスをかけたら良くなるはずです、ちょうど持ってるのでかけますね。」
「本当か?それならよかった…。」
「持ってきておいてよかったです…にしても、一体誰がこんなことを?」
「お前の主人だ」
「えっ…は?…トリムネ様、それは本当ですか…?」
ダーシュレイの言葉にトリモモは一瞬で笑顔を失い、信じられないと言う目でトリムネに顔を向けた。対して、トリムネは一瞬顔を真っ青にし、事実であることを隠すつもりなのか手羽先をゆっくりとしまう。しかし、その隙を与えず、状況を悟ったトリモモは勢いよくトリムネにつかみかかった。
「ぐあっ…!?」
「のちの国王たる者がなんてことしてるんですか!?国王様にこの前のことを丁重に詫びて、頭下げて、なんとしてでも許してもらえって言われたのを忘れたんですか!?」
「だ、だって…コイツ…。」
「コイツじゃないです!オニリーヌ様です!全く貴方という人は…!!」
トリモモはトリムネの言葉を遮り大声で彼に捲し立てた。どちらが立場が上なのかわからない光景にダーシュレイは戸惑ったが、すぐに放置し、気絶しているオニリーヌに集中する。
すると、チキンのエキスの効果か、オニリーヌの目がゆっくりと開き始めた。
「あ…ここ…は?」
「オニリーヌ!」
「ダーシュレイ…??」
「よかった、目覚めた…。」
ダーシュレイは嬉しさと安堵で胸がいっぱいになりゆっくりと起き上がるオニリーヌを抱きしめた。対してトリモモは瞬く速さでトリムネを離し、土下座する。
「オニリーヌ様、この度はうちのバカなチキン野郎が申し訳ございませんでした!」
「お、おい!トリモモ!」
「?…」
「トリモモ、オニリーヌはまだ意識がはっきりしていないようだ、俺が代わりに館で聞こう」
「はっ、では、早速移動いたしましょう。」
トリモモはすぐさま返事して、ヘリを呼び寄せた。そして、トリムネに相当腹を立てたのかヘリをダーシュレイとオニリーヌに譲り、自分達は歩いて向かうと言い出した。
「迷わないで館に来れるといいが…大丈夫だろうか。」
「ダーシュレイ…。」
「ん?どうした。」
ヘリの中でダーシュレイの胸の中にいるオニリーヌはトロンとした目で彼を呼び、彼の背中に腕を回そうとする。
「お、おい…動くな…今はやすん。」
「だいすき。」
「っ、!?」
「だいすき……ダーシュレイ…。」
その後、オニリーヌはなんか静かになったなと思いながらじっと抱かれていた。後にダーシュレイはこのことについていろいろ危なかった、と述べている。
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