0人が本棚に入れています
本棚に追加
薄紅の頬をした白い顔の少年たちが今宵、一斉にこの日ノ本の國へ舞い降りた。
少年たちは、櫻色の唇をそっと重ね合わせると、触れたその隙間から、幾千の花弁が吹雪の如く、千千に乱れて辺り一面を櫻花の海へと成す。
細くしなった三日月が、少年たちを蒼白く妖しく照らし出す。
櫻少年たちは、一夜の戯れに耽溺しながら上昇気流に乗って、西へ西へと向かい、消滅する。
これは夢か現か、櫻少年満開の下には彼等の雪花石膏のような、小指の骨が埋まっている。
誰にも知れずに・・・。
そして、あくる年に再び少年たちは生まれ変わり、この日ノ本の國へと舞い降りるのだ。
その小さな骨のカケラを頼りに・・・。
最初のコメントを投稿しよう!