役に立ってる

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 エッセンシャルワーカーは社会の為、人々の為に欠かせないが、極小数の特定の人の為に必要な有為な人が稀にいる。例えば画家、一人でもファンがいれば、その人は役に立っていると言える。が、ゴッホのように驥も櫪に伏し生前報われない人もいる。人の役に立とうと何をしても空回り、寧ろ人々に面倒くさがられたり鬱陶しがられたりする。こよなく敬慕して会いたいと願ったゴーギャンにさえも実際、共同生活する内、敬遠され逃げられる始末で大抵の者に変人狂人とレッテルを貼られ、挙げ句の果てに精神病院に入る憂き目を見た。それでもゴッホは絵を描き続けることが出来た。弟で画商のテオがパトロンとなってくれていたからだ。それだけがゴッホにとってラッキーなことだった。そして死後報われたのだ。正にゴッホはニーチェの言う超人だった。超人は誰にも理解されない孤高の存在だ。しかしゴッホは高慢になるどころか誰とも親しもうとした。そこが男には分からない。彼だってゴッホに負けない位、真っ直ぐな男で人情に厚い男だが、それだけに正直に生きようとすると馬鹿を見る。而して周囲の者に幻滅し、清き水に魚住まずで孤立する。彼はちょっと考えたら分かった。自分はプロレタリアの時間が長かった。その過程で周囲に失望して行ったが、俺だって若い頃は親しもうとした。対してゴッホは若死にだ。つまり失望する前に死んだ。実はゴッホは自殺したのでなく他殺されたのだ。  男は文学の真髄である世を風刺することで世の為人の為になろうと小説やエッセイを書いているが、世の中の大半を占める俗物(ニーチェの言うおしまいの人間)が文学によって覚醒する筈がないし、そもそも俗物の大半は文学を読まないから世の中が望ましい方へ変わった試しはなく、自身も報われない。しかし彼も兄思いの弟の仕送りによって小説を書き続けることが出来ている。で、偶に電子書籍が売れると、自分も役に立っていると思う。  
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