誰16話「煉獄の雨」

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青年がそう言って…呟いた先には…1つの大きな影があって…人々を喰らい尽くしていたっ!!?その何かの胃袋の中に囚われた生者の影は…悲鳴をあげて…周囲一帯に影響を及ぼして…深い闇を創り出していたっ!!? そこから見えた惨状を〘瞠目紅芽〙は晩年まで覚えていて…決して脳裏から離れる事は無かったと言うっ!!?後に語られる事になるこの1件は…周囲を巻き込んで行って…残響となって鳴り響くっ!!? 蝉の抜け殻の様に儚くて尊い…淡い輪廻の音は…夏の暖かさが残る秋の夕暮れに染み渡ってゆっくりと溶け合って行くっ!!?そこから吹き荒れる風は…全てを象徴する様に怪しく揺れて頬を掠めていくっ!!? そして…瞠目の中に音となって残った違和感は深い幻影を創り出し…屍の花を芽吹かせていたっ!!?舞い堕ちるヒトヒラの花弁が見せた疑念が記憶の渦に呑み込まれて…ゆっくりと侵食して刹那に揺れる水面を照らして行った!!?
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