喫茶aveで、会いましょう

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「強い気持ちや記憶っていうものは、頭のなかだけで完結できずに、そこからも溢れてその辺に浮遊してたりする気がしませんか。物に宿ったりすることもあるでしょう。それだけだと希薄すぎて感じることはできないけど、ごくたまに、そういうものをぎゅっと凝縮して可視化できるような場所があるんじゃないかなと、思うんです」   「……この店がそうだと?」   「どうでしょうね。昔から、この店には時折不思議なお客様がいらっしゃるんですよ。そういう方を、恐ろしいと感じたことはありません。だから幽霊と呼ぶのは、なんだか悪いなと。記憶や思い出と、私は呼びます」   「彼女さんの手、暖かかったでしょう。きっと思い出には温度があるんです」
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