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季節は夏。
都内にある国立大学。
大学生2年生の珠條 春美は普段つるむ友達(ダチ)たちと食堂でランチしていて、昨夜放送された恋愛旅番組の話で盛り上がっていた。
「ホラッチョがなかなか良い奴なんだよね」
春美が染々と言いながら春巻き定食を食べて、春美と仲良い男友達で御曹司の神堂が言う。
「あいつ遠慮ばっかし過ぎて自分の恋愛全然できてないじゃん。本末転倒だろ」
春美の親友の涼香と沙苗と優奈が笑って、神堂が続ける。
「何しに参加してんだよ。自分の狙ってる獲物なら周りに遠慮してないで仕留めにいけよ」
「獲物って・・」
春美が言い方に眉を顰めて呟き、密かに好いてる優奈は狩られたい思いで神堂を見つめる。
「出た肉食御曹司」
涼香がペンネグラタン食べながら言い、神堂 が言う。
「おれだったらいくね。お相手いてもぶん取りにいくね」
「ぶん取るって・・」
春美が呟き、神堂が春美を見る。
「概婚者じゃなきゃいくだろ。欲しい女なら誰が相手でもぶん取りにいくさ。男なら当たり前だろ」
「いやいや当たり前じゃねーし。いかねーし。っていうかいけねーし」
明るい太っちょの安本 聖 通称やすが焼きうどん食べながらが待ったをかけて言う。
「おたくみたいによっぽど自信過剰じゃないといけねーし」
「関係ねえよ。女は押しに弱い生き物なんだよ。押しと褒め言葉に弱い生き物だから褒めて押せば簡単に落ちる」
春美と涼香がブーブーと文句つけて神堂が笑ってカレーライス食べて、沙苗が話を戻す。
「みほりんは優柔不断過ぎじゃない?」
「わかる。どっちかに早く決めろって感じ」
涼香が食べながら頷く。
「いつまで悩んでる気よあれ。みほりんの件つまらないから早くみほりん消えてほしい」
「涼だったらどっちにする?」
春美が聞き、涼香が即答する。
「ともやん」
「その心は?」
神堂が聞き、涼香が言う。
「笑顔が可愛い」
「えー」
神堂が驚愕して、涼香が神堂を見る。
「何よ えー って?」
「意外な理由だな。クールな涼香様はおれみたいなカッコいい系より可愛い系が好きなんだな。知らなかった」
「わたしも知らなかった。へぇ〜」
食べながら言う春美。
「見た目で選ぶのかよ?中身は見てないのか?」
やすが言う。
「中身もともやんのほうが良いわ。優しいし 思いやりがあるわ。
ようへいはちょっと神堂入ってるから」
「なんだ神堂入ってるって?」
「確かにナルシス入ってるな」
やすが賛同して言う。
「ナルシスは浮気するから嫌なの」
「決めつけるなよ」
神堂が涼香に言う。
「今何又よ?」
春美が食べながら神堂に聞く。
「人をいつも又かけ恋愛してるように言うな」
「で、何又よ?」
「10−7」
「このやろう」
「この大学内?」
涼香が聞き、神堂が答える。
「違う。東皇のJDと、JKとOL」
「OL?」
春美が思わず聞き返して、神堂が一流会社のOLだと話す。
「最高何又かけた?」
涼香が聞く。
「10」
「10!?聞いたことねーよ10又なんて」
やすがびっくらこきながら言う。
「高校の時な」
神堂が食べながら言う。
「あのメンバーの中なら誰が良い?」
沙苗が神堂に聞き、神堂が答える。
「ミミ」
「その心は?」
涼香が聞く。
「ウブだから。ちょろそう」
「さいあくだ」
春美がドン引き絶句して言う。
「さいてい」
涼香もここまでとはと引きながら言い、神堂が食べながら笑って言う。
「冗談だって。冗談」
「冗談に聞こえない」
涼香が言う。
「おれはさっちん好きなんだな」
ホラッチョが言う。
「さっちんは見た目で判断しないで中身見てくれる。素晴らしい女性だ」
「最終判断は見た目でするさ」
神堂が言う。
「さっちんはしないさ」
「するね。
大体自分と同じレベルの顔面のやつにアタックしねーと。やすとかは高望みし過ぎ」
「してねーよ」
「今誰が好きよ?」
「りりかちゃん」
一年下の現役大学生アイドルを答えるやす。
「お前さ、自分が逆の立場だったら付き合うか?
自分がりりかちゃんだったとして、お前に告られたら付き合うか?」
「付き合わない」
やすが即答する。
「だろ。高望みし過ぎだ。
そうだな、あいつとかイケるよ」
神堂が隅のテーブルで大盛りかつ丼食らってる太っちょ女子を見て言う。
「NO」
やすが首を振って言う。
「なんで英語よ?」
春美が笑う。
「やすはあれだって」
「いやだ!
おれは可愛い子が良いんだ!」
そう言って焼きうどんをかきこむやす。
「一生彼女できねーな」
「高望みしてなにがわるい?」
春美が神堂に言い、やすが頷きながら神堂に言う。
「わるいって言ってんじゃないんだよ。それじゃ財力ない限り付き合えないぜって言ってんだよ。やす」
「今に見てろよ。度肝抜く彼女作ってやるからな」
「お笑いの方面でか?」
「ちげーよ。美女な彼女だよ」
沙苗が再び話を戻す。
「さっちんはホラッチョちょっと好きでしょあれ」
やすが頷いて言う。
「おれもそう思う!あれは可能性ある!絶対気にはなってるって!」
「なんでお前が必死なんだよ?自分と重ねてるのか?」
「まぁな。おれはホラッチョにはカップル帰国してほしいんだ」
やすが神堂に言う。
「さっちんはもう無理でしょ」
春美が言う。
「あそこでホラッチョは誘わなきゃね〜」
春美たちが昨夜の岐路シーンを思い返しながら共感し合って言う。
「もうないよね。インテリと御成立よ」
「お人好し過ぎるんだよ」
神堂も食べながら言う。
「駄メンズだあいつは」
「そうは言うけどさ、おれはあそこでのホラッチョの勇姿を支持するよ。友情を優先したんだよホラッチョは」
やすが焼きうどん食べながら言う。
「胸熱な展開さ。泣けたよおれは。泣いた」
神堂が食べながら安本を見て、言う。
「出ればやす?」
神堂に笑う女子たち。
「【やす】ってプラ掲げて。『やすっす。よろしくっす』って」
モノマネして言う神堂に春美たちが食べながらウケて、神堂が軽く笑みを浮かべて続ける。
「おれっちって自分のこと言ってね」
「なんだよおれっちって!?おれっちだなんて使ったことねーけど!?」
やすが言い返して、笑う涼香たち。
「神出れば?」
春美が神堂に言う。
「おれが出たら番組にならないでしょ。女は全員おれにイチコロなんだから」
「おいおいおい!凄まじい自信とナルシスだな!」
やすがびっくらこいて言う。
「おれの容姿と財力の前に屈しない女はいない」
「すげーな すげーなおい!
言いたい放題だな。言いたい放題キャンペーンかよ」
「え?キャンペーン?」
神堂が鋭く聞き返し、やすが女子陣にウケなかったフレーズに言う。
「いいんだよそこはスルっと流してくれて」
「ほんとに全員イチコロかどうか試してよじゃあ。
面白そうだから神出てみてよ。応募は財力で何とかしてさ」
春美が神堂に言う。
「何日で落とせるか。どんな女でも1週間あれば落とせるからな。
番組史上初の最短記録出したいよな」
神堂が言う。
「帰りはプライベートジェットだろ?」
やすが笑みを浮かべて言う。
「チケットいらないじゃん」
笑う春美たち。
午後。
春美はキャンプサークルで積極的に活動していて、サークル仲間の地味メガネくんの鏡 亮となかなか可愛いメガネちゃんの新高 千紗に夏キャンの話をする。
「これ」
春美が先日国立図書館で発見した古い伝書記【昊嶽島】を見せて、載ってる古びた写真に良さ気な島だと、メジャー所より隠れた名所を見つけ出してキャンプするのが好きな春美がレッツ昊嶽島へと誘う。
「何泊する?」
鏡が行くことに同意して聞き、春美が言う。
「3泊で。船はわたしが予約するから・・・」
春美が経路のことを諸々話して、後日、数十人いるキャンプサークルメンバーの中から男女12人の参加が決まった。
男 6人
神堂
安本
鏡
市川
高橋
京極 大学生5年生
女 6人
春美
沙苗
涼香
千紗
優奈
ほのか 現役大学生グラドル
他、ほのかの事務所の撮影班が3人
カメラマンの山木
メイク係の佐藤
マネージャーの竹岡
総勢15人が行くこととなった。
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