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物語と旅をする
手にとった本のページをめくる
そこは異国の地であったり
知っている場所であったり
はたまた現実世界には存在しない場所であったり
そこにおおよそ共通するのは
自分の歩んだ事のない世界が広がっている事
どうやら世の中には
自分の事が書かれているような物語もあるらしい
残念ながら私は出逢った事はないけれど
世界の何処かにはそんな物語もあるかもしれない
何にせよ物語を読む時間は
旅をしている事に似ている
今、此処ではない何処かに向かって
物語と旅をする
私にとって物語は
追うものではなく同行者に近い
頼もしい同行者は
時に性急に、また時には気ままに
私を知らない世界に連れ
そっと寄り添ってくれる
私は同行者に連れられるまま世界を旅し
まるで旅人が現地の人を眺めるように
そこで起こる出来事を眺めている
目にした物語には
自分と違った人間性や価値観
知る事のなかった人間模様や世界がある
そんな時間は日々の生活では手に入らない
贅沢で格別な時間だ
もしかしたらその旅が切欠で
本当に現地に足を運ぶ日が来るかもしれない
知っている土地にもう一度足を運ぶかもしれない
そのどちらも
物語と旅をする前の自分では得られない
感慨深さと喜びを得られるのだろう
そしてその時
先立って私を連れていった同行者はこっそりと笑顔を浮かべているかもしれない
そんな事に想いを馳せて
今度はどんな世界に向かうのか
私は今日も物語と旅をする
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