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「ま、まあ、こんなこと言うのもアレだけどクビになってよかったな。警察に捕まる前で」
「そうだな。あのまま行ってたら完全に失楽園(1997)だったしな」
失楽園という言葉は違うと思う。
「それで? 次の就職先は見つかったのか?」
「そこなんだよ、お前を呼んだのは」
「残念だけど、オレはコネ入社なんてさせる気はないぞ。紹介くらいならしてやってもいいけど」
「違う違う! ぜんぜんちっがーう!」
Kはイナバウアー(2006)のように体をのけぞらせながら否定した。
「オレな、国会議員になりたくなったんだ」
「は? 国会議員?」
ちょっと待て、話がいきなりぶっ飛んだぞ。
「国会議員になって日本を変えていきたいと思ってさ」
「国会議員って……。おま、高校の時はそんなこと一言も言ってなかったじゃないか」
「人は変わるもんなんだよ」
瞳をキラキラさせながら言うK。
昔はクズキャラだったけど、今は純粋に夢を追いかけている少年のような顔をしている。
「そうか。国会議員という新たな夢を見つけたんだな」
「ああ。オレ、議員になって小泉語録(2001)みたいなものを作りたい」
めっちゃ頭悪そうな理由だった!
「政治家になって国会で吠えまくって小泉劇場(2005)ならぬK劇場なるものを作って、みんなにキャーキャー言われたい」
「お前を少しでも見直したオレがバカだったよ」
「そんなこと言うなよ。国会議員になりたいという新たな夢を見つけたんだ。自分で自分を褒めたい(1996)くらいさ」
「そ、そうか。ところでお前、政治に詳しかったっけ?」
「忖度(2017)くらいの意味ならわかるぞ!」
こいつが国会議員になったら日本死ぬ。
「そろそろ政権交代(2009)の頃合いだしな」
「いやいやいや、政権交代の前にまずは勉強しろよ!」
「勉強してるさ。オレの雑草魂(1999)なめるなよ」
知らんがな。
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