本編

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「おまえ、よくそれで国会議員になろうと思ったな」 「変か?」 「変」  そういえばKって昔からこんなヤツだった。  思いついたら即行動起こすタイプ。  こいつはどげんかせんといかん(2007)。 「そういえばさ、隣のクラスの真知子覚えてるか?」 「覚えてる覚えてる。霊感強くて『ゲゲゲの(2010)きたまちこ』って呼ばれてた真知子だろ?」  呼ばれてねーよ。なんだその記憶力。 「その真知子がどうかしたか?」 「なんでも議員の嫁になったらしいぞ。彼女のほうが政治とかに詳しいんじゃないか?」 「えー、あー、うーん……」 「なんだよ、政界目指すなら彼女のほうが断然相談相手にふさわしいだろ」 「でも……あの真知子だぜ?」 「なんだよ。問題でもあるのか?」 「高1の頃、『同情するなら金をくれ』(1994)って言ってクラス中から金せびってたんだよ。家金持ちだったくせに」 「いや、それは知らんけど……」  そうなのか?  真知子って同情するような家庭事情だったっけ?  オレの中では美人・才女・優等生というトリプルスリー(2015)のイメージが強いんだが。 「オレ、せびられたんだよね。真知子に」 「そうなんだ」 「Jリーグ(1993)観に行きたいから金をくれって」  しょうもな!  同情のレベルしょうもな! 「それでお前……貸したのか?」 「おお。貸した貸した。50円」  50円て……。 「まだ返してもらってないから、利子だけで50万はいってるな」 「どこの悪徳金融だ、お前は」  こいつから金だけは絶対借りないでおこう。 「借りたものを返さない、そんなヤツに教えを乞うのもなー」 「そ、そうだな」 「というわけで、やっぱりオレの補佐はお前しかいないな!」 「やっぱりじゃねーよ!」 「メークドラマ(1996)の始まりだな!」 「だからやらないよ、オレ!」 「いつやるの? 今でしょ!(2013)」 「これから先もねえ!」  なんなんだこいつのこのグイグイくる感じは。  ああ、このままだとヤバい。  早く話を切り上げて退散しないと……。
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