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(ふぅ・・・やはり、この神殿はかつて、水棲の種族が暮らしていたに違いないですわ。)
海の散策を終え、ココロは海面から顔を出すと、陸地へ向かって、泳ぎ始めた。
(・・・ワンピースが完全に乾くまで、何処か、風が良く当たる場所とかないかしら?)
ココロ達”小倉兄弟”は、”海”の魔物である”父”の血を引いているため、半日程度であれば、水面に上がって、呼吸する事なく、潜水が可能だ。
更に、身に着けているものにも効果が働き、着ている衣服は、魔力による”撥水”か、すぐに乾き、携帯電話といった精密機械も、肌から離れない限り、壊れる事なく、水中でも問題なく使用できる。
だが、今回は長く海に潜っていた影響か、お気に入りのワンピースは、すぐには乾かない。
(あの上に行ってみよう。)
ココロが周囲を見渡すと、近くに高い塔のような建築物を発見した。
老朽は見られるものの、柱は太く、傾いておらず、大胆に崩れた様子は見られない。安全と判断して、ココロは自身の身長を超える高さで跳び、足場に乗り継ぎながら、天辺を目指した。
これも、父譲りの”魔力”を利用したものだ。
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