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”ファースト海”を一望できる塔の天辺で、ココロと、その女の子は会話を交わしていた。
「へぇー。ココロちゃんは”魔人”なんだ。」
「はい。お父様が、この”キンカイ”で産まれた”魔物”で、お母様がおそらく、純粋な”人間”かと・・・」
日本の領海に囲まれた、不思議な世界”ナンカイ”において、”魔人”とは、”魔物”と”人間”のハーフを指すが、ナンカイには原則、純粋な人間は存在していない。
「私の家族は、みんな”鳥人”。故郷では、この種族が多く占めていて、私とお母さんは”コマドリ”で、お兄ちゃんとお父さんは”フクロウ”なんだ。」
その女の子の名前は”シャム”。
全体的に”人間”の体格をしているが、一部が”鳥”そのものになっており、彼女の場合は、頭部、胴体が”人間”で、手足が”フクロウ”になっている。
そう、一見、後ろ姿で”足”がないように見えたのは、”フクロウ”の足を前に突き出して、見えなかっただけだった。
偶然にも、年はココロと同じ18歳で、お互い、初めて顔を合わせたというのに、シャムは親しげに、ココロと会話を続けた。
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