はじめに

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はじめに

 「おめでとう!」  「おめでとう!」  「おめでとう!」  響き交う賛辞、鳴り渡る拍手喝采。  そう。ここは、エ○゛ァの最終回…ではなく。  ここは、祝いの席。今日この日がぼくたち二人にとって、忘れられぬ人生の1ページとなったのです。  って、まずはご挨拶と自己紹介ですよね。なにぶん主人公になるのが生まれて初めてなもので、段取りが悪く申し訳ありません。  みなさん初めまして、こんにちは。ぼくの名前は、伊勢嶋彼方(かなた)11歳。つい先日まで、名字は三枝(さえぐさ)でした。いわゆる一つの、旧姓ですね。ここまで言えば、もうお分かりでしょうか。まぁ、表紙と物語のタイトルから勘のいい皆様なら察されていた事とは存じますが。 a72dbf81-0923-4616-acac-1f71c807a710  そうです。ぼくたちは、本日…。具体的には、西暦2049年6月10日。元号で言うと、零和31年ですね。この日をもって、めでたく結婚致しました!え?若干11歳で、結婚出来るのかって?  遡ること一年ほど前、これで何回目だかの成人年齢引き下げが行われたんですよ。同様に婚姻適齢も下げられ、ぼくのような若輩でも夫婦の一人となり得た次第ですね。今日この日のために、神様と日本国が後押しをしてくれたとしか思えません。ちなみに、同性同士の結婚はとっくの昔に認められていますよ。年齢に比べると、取るに足らない情報ではありますが。  そんな事より、大変だったんですよ。このジューンブライドの時期に、式場抑えるの。なーんて。本当は、夫とその親族に任せっきりだったんですけどね。  また正確に言えば、役所には一週間ほど前に届けを提出しています。そのため、すでに婚姻は成立し入籍も済んでいる状態ですが…。まぁ、いいじゃないですか。気分の問題って事で。たかが婚姻届に、判を押しただけの話ではありますしね。  ぼくたち新夫婦、病める時も健やかなる時も…。永遠に変わらぬ愛を、誓い合う所存です。二人の前には、これからきっと艱難辛苦の道が待ち受けているのでしょう。だけれど…。  って、まだ肝心の夫の名前すら紹介してなかったんでしたっけ。まぁ、その辺りの説明は次のページからおいおいとね。ちょうど式も終わりましたので、ここから二人で新天地に飛び立ちます。  本当は、前世紀の映画みたく缶をたくさんぶら下げた自動車でカラッカラ鳴らしながら出発したかったですけど。最近でも、ああ言うのって乗れるんですかね?危ないしうるさいってんで、おさわりまんに呼び止められそう。  普通に着替えて二次会のお店行って、そこから親族一同に見送られバスで熱海まで行ってました。夫の財力ならハネムーンで世界一周するくらい余裕ですが、まぁ仕事の都合とかぼくの学校の授業とか色々な兼ね合いがあったのですよ。二人とも、あまりそう言うのに興味はありませんでしたし。  ってな訳で、ふしだらな…違った。ふつつかな二人ではございますが、どうか生暖かく見守って頂けますと幸いです。次ページからは新婚生活を垂れ流していく所存ですので、よろしくお付き合いくださいませ♡
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