山川 航 視点

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山川 航 視点

 アメリカ赴任から日本へ戻ってきて2週間がすぎた。  この2週間は、社内社外と挨拶まわりに忙しくしていたが、「久しぶり」と皆が声を掛けてくれて、とてもありがたく嬉しい日々でもあった。  人数が多すぎて、僕の方が思い出せない事も多々あり、なんだか申し訳ない時もあるが。  はぁぁ……それにしても忙しかったなぁ。  分刻みのスケジュールをこなし、今日の午前で一段落ついた僕は思いっきり伸びをした。  よし、昼休憩、早めに取るか。  会社のカフェテリアに向かうと、時間が少し早いからかポツポツ空席がある。何を食べようかと入口に立て掛けてあるメニューボードをじっくり眺めた。  漫画のような吹き出しで「オススメにゃ!」と猫のイラストがサンドイッチAセットを差していて、僕はクスリと笑ってしまう。Aセットに決めた。 「セットのドリンクをこちらからお選び下さい」 「ブレンドの……LLで」 「プラス150円になりますが」 「はい、大丈夫です」  胸ポケットから社員証を取り出し、支払いを済ませ、店内を見渡した。陽当りの良さげな窓際の席がちょうど空き、僕は足早に向かう。  2人掛けの席に座り、Aセットのハムとたまごサンドにかぶりついた。  お、うまっ。  マヨネーズがハムとたまごの味も引き立てて旨い。やっぱり日本は何食べても旨いよな。  お腹が減っていたせいか、あっという間に食べ終わり、コーヒーを一口飲んだ。  喉が乾いてて、サイズをLLにしちゃったけど……やっちまったかな。なかなか減らねぇ。  トレーを片付け、そんなに混んでいない事を確認すると鞄から、読みかけの推理小説を出す。昨日から殺人事件の犯人が気になって仕方がない。  数行読み進めた辺りで、頭上から女性の声がした。
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