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「セオドラはやっぱり天才ですね」
誰もがオレのことをそう言う
出来て当たり前
完璧で当たり前
成績も上位で当たり前
やれない事は何もない
重圧に苦しむ姿など、誰にも見せられない
オレは、常に上に立つ者として生きなければいけない
「満点で当然だ」と言われ続けた
失望されない為に、期待に応える為に
いつまで、こんなコトを続けなければいけないのだろう…
不意に浮かぶ疑念を打ち払い
自分は完璧だと言い聞かせる
本当は、努力しなければ保てない自分を否定するように…
「完璧な人なんていないだろ。お前がすごいのは、それだけ勤勉で耐えまぬ努力をしているからだろ」
何事でもないように、当たり前のことをアイツだけが言ってくれる
アイツだけがオレをちゃんと見ていた
ローゼン家として、出来て当たり前、学年首位は当然
わからない、出来ないは許されない
誰も、オレが深夜まで勉強していることなど知らない…
と、思っていたんだが…
ネコの様な夜闇でも光りそうな金を帯びた翡翠の瞳と目が合い、その綺麗な瞳に釘つげになる
この眼が、本当のオレを見てくれる
この瞳にオレだけを映しておきたくなる
本当の天才と言うのは、コイツのことを言うんだろうな…
「ふっ…ありがとう、な…カイン」
ポンポンと軽く頭を撫でながら、素直に礼を言ったはずなのに、逃げるように去って行ったアイツ
少し耳が赤かった気がするが、行き場を失くした手が寂しかった
あの日、あの時からアイツのことが気になって仕方がない
気付けば目で追ってしまう、白金色の綺麗な尻尾
陽に透けてキラキラと光りを溢す髪に触れたくて、何かと理由を付けて絡むようになった
周りからも、カイン自身からも、オレがアイツを嫌っていると思われている
ただ、仲良くするきっかけを掴みかねているだけなんだが…
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