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授業が始まるまでまだ時間があるが、何故か今日はいつもよりも浮き足だった雰囲気があり、生徒同士の会話が弾んでいる 聞き耳を立てていると、内容はある薔薇の話で持ちきりのようだ 「セオドア、青い薔薇はホントに存在するのかな?」 どこかワクワクした声でアレンの口から薔薇の噂を耳にする 「さぁ?あんな御伽噺、信じられないな」 誰かの手には渡っては居ないはずだが、何処かで目にした者はいるようだ 「万能薬や永遠の命の秘薬、絶対に解けることのない惚れ薬、あとは、最強の毛生え薬?だったか? 本当に作れるのかも怪しい薬ばかりだな 材料自体も本当に存在するのかもわからないモノばかりだろう」 昔から言われている秘薬の数々を述べ、馬鹿にしたような笑みを浮かべる 「誰かの妄想だろう。青い薔薇も、何か他の物と見間違えたか、誰かの悪戯だろ。まさか、信じる馬鹿が居るとは思えんが…」 教室にいる全員にワザと聴こえるであろう声で言うと、周りも手のひらを返したように言い出す 「そ、そうだよな」 「誰かのイタズラだろ?」 「まぁ、俺は信じてなかったけどな」 教壇前の席に座り、周りの話しなど全く聞いていない様子で、教科書を開いて自習している彼にワザと声を掛ける 「カインは信じてたりするのか?アリもしない幻想の花」 教科書から顔を上げるも、眉間に深い皺を寄せ、明らかに迷惑だと言う顔で溜息を吐いている だが、その表情はどこか嬉しそうにも見え… 「さあ?探せばあるんじゃない?青い薔薇を見た奴がきっといるんだろ?オレはあってもいいと思うけど…『不可能』の代名詞」 猫のような吊り目がどことなく楽しそうだ 素気ないフリをしながらも、オレの問いに返答してくる彼に肩を竦める 「お前にしては珍しいな。非現実的だって言って来るかと思っていたのに…」 気付くとカインは教科書をまとめて席を立ち、小走りで教室を出て行っていた まだ授業も始まっていないのに… アイツらしくない態度が気になる オレよりも現実主義で、今日のように絡んだらもっとボロカスに文句を言ってくるようなアイツが… 今日は、何故か嬉しそうだった ただ、いつもよりも顔色が悪かった 元々肌が白いアイツだが、今日は特に白く見えた
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