披露宴の、その後に(R-18)

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披露宴の、その後に(R-18)

「……なんだか、夢みたいだ」 「ん?」 「ほんとに僕たち、結婚…したんだね」  身内だけで行った結婚式の後、お開きになった披露宴会場を後にする。数時間ぶりに二人きりになるとどっと疲れが押し寄せてきて、部屋のソファに思い切り体重を乗せて腰かけた。  未だにタキシードを着ている誠人がカッコ良過ぎて、うっとりと見蕩れてしまう。すると僕の視線に気付いた彼が、ちらりとこちらを見て微笑んだ。あざとすぎる。  ダメだ…本当にかっこいい...今すぐにでも抱いて 「どうしたんだよ?そんな惚けた顔して」 「ふぇ?」 「ゆう、おまえ……もしかして、やらしいこと考えてたのか?」 「ななっ…!なんで!」  まさか誠人に心を読まれていたのだろうか?顔に出やすいとは良く言われてきたけれど、こんな時まで僕の心境をピタリと当てないで欲しいと思ってしまった。…恥ずかしすぎる…。  ただ抱き締めて頭を撫でて欲しい、またトロトロになるキスをして欲しい、それから…と邪な想像をし掛け、頭を軽く横に振る。  そんな僕の葛藤を知らぬまま、まこは僕の座っているソファまでやって来て、恭しく跪き僕の手をゆっくりと取った。そのまま、手の甲と指先にキスして… 「深友。今日から俺の全部は、おまえのものだ」 「んなっ…」  恥ずかしすぎる言葉を吐いた。 ×   ×   ×  だから、我慢なんてするなよ。俺は思った言葉を、思った通りに告げた。 「っ、まこ、その顔でその台詞はずるいって…!カッコいいにも程がある!」  顔を赤らめた深友は、恥ずかしそうに片手で顔を覆った。堪らなく可愛い。屈んだままの俺はそんな深友の顔を上目遣いで見ながら、彼が求めて止まない行動に入った。  手を伸ばし、深友のスラックスのベルトを外していくと、俺と色違いで買ったお揃いのトランクスが少しだけ天幕を張り主張してきた。俺の仕業でこうなってしまったのだと思ったら堪らなく興奮してしまい、思わず乾いた下唇を舐める。先端から滲み出てきた透明な露がトランクスを濡らし、染みを作り、じわじわと広がる様子を観察していると深友が悲鳴を上げた。 「まこ、み、見ないで、」 「なんでだよ?こんなになるまで我慢してたんだろ?」 「いくら、その、夫夫同士でも…明るいとこで見られるのは恥ずかしいもんなんだって!」 「はは…久しぶりに聞いた、その言葉」  トランクスの上からでも分かるそれを撫でると、パンパンに膨らんだ深友の陰嚢が弾けそうになっているのが分かった。指先で力を入れずに撫で回し、深友の顔が蕩けていくのが分かる。自分の肩に流した髪を耳に掛けて、俺は深友のトランクスをずらした。  ぶるん、と音が漏れてきそうなくらい、勢いよく飛び出した深友のそれは、過去のものと似ても似つかないくらい大きくしなっていた。 「ふふ…すっかり蕩けた顔しやがって…」 「んっ…ぅん……」 「揉むのとしゃぶるの、どっちが良い?」  俺の提案に深友は目を見張る。まさかそこまで言われるとは思わなかったのだろう。  ついにやけてしまって、知識の宝庫であるスケベな雑誌に感謝した。それもつい先日、深友が購入したものだ。男同士のあれやそれやが書かれたその雑誌は、今や俺たちのバイブルになっている。 「……んっ…な…なめて…欲しい」  顔を真っ赤にして小声で言う深友が可愛すぎて、更にイジメたくなってくる。トランクスとスラックスを膝下まで降ろし、深友の急所を完全に顕にして、陰嚢の上から睾丸を唇で探り当てる。それから前で涎を垂らす、深友の竿を手で扱いた。竿の出口も舐めてやり、陰嚢から竿にかけて舌を伸ばして、ちゅうちゅうと音を立てて吸った。  舌で竿の先端を転がすように舐ると、深友が足の爪先をピンと伸ばして俺の肩を指先で突いた。言葉になっていない声をしきりに漏らして、ひたすら何かに耐えている。 「はっ、あ、誠人っ、そんな目で、見ちゃ」 「そんな目って…?」  どんな目だ? 「あっ、やだ、で、出る、でるぅ!」  背中を這い上がるような痺れがきて、下半身がちぎれそうだった。白タキシードを着た上目遣いの誠人が、僕の、雄を…咥えている。  視界に入る情報量が多すぎて、思わず目を瞑ったら我慢が出来なくなってきた。結婚式の準備やらなにやらで暫く二人の時間が取れず、久方ぶりに誠人の舌先が僕の先端を刺激して…っ、もう、我慢の限界だった… 「まこっ、口、くちっ!あぁぁ!」 「んっ…!」  堰き止めていたそれが解放されて、誠人の口の中に盛大に噴き出してしまう。そんな、僕の…白いのが……誠人の顔に… 「はぁっ…まこ、ごめ……」 「っ、いや、………深友の、いっぱい出たな...、気持良かったか?」  ひとしきり僕の竿を舐めまわされて、ようやく柔らかい唇に開放される。彼の口の中に噴き出した僕の体液を誠人が飲み込んで、喉仏がひくりと動く。口端から一筋白い筋が零れて…理性がぐらりと傾いた。こんなの何処で教わったのだろう?あざとカッコ良過ぎる…。 「誠人、この、あとは…」 「オマエはどうしたい?もっと欲しいだろ…?」  自分の喉が鳴る音がした。もっと、もっと… 「…何処まで、…?」 「何処って、そりゃあ…おまえが観念して悲鳴を上げるまで、だよ」  口元を拭う誠人を呆けた頭でじっと見ていた。ソファーに預けた背中がいつの間にか宙に浮いて、誠人に抱き起こされたのだと気づく。息がまだ上がったままで、まこの顔が強制的に近くなる。 「このままソファでってのも情熱的で良いけど、雰囲気を大切にしないとな…?」 「雰囲気っ、て…」 「そう言うのも大事なんだろ?ロマンチストなおまえから教わったんだ…」  下半身丸出しで、シャツだけ半脱ぎになった状態の僕を、誠人がスイートルームの寝室へと運んでいく。からっぽになった頭でどうにか理解しようとして、誠人の顔を見上げる。  未だに涼しい顔で僕を見つめると、耳元に唇を寄せてそっと囁かれた。上で蕩けるか、下でぐちゃぐちゃになるか。そんなの、想像したことがないのだから選べないのに。 「…まこの、好きにしていいよ…?」 「っ…ホントに良いのか?」  キングサイズのベッドに優しく横たえられて、誠人が僕の顔中にキスをする。普段からカッコいいけれど、より大人びて見える誠人の表情が、僕の心に次々とキス痕を残していくようだ。女性だったらもう、どろどろに溶けているに違いない優しい口づけに、僕も骨の髄まで溶かされている。 「いいんだよ…僕、まこに夢中だから」 「は、なんだソレ…新婚初夜に火傷だけじゃ、済まさないからな?」  カッコいい台詞を吐いて、誠人の身体が僕と重なり合い僕のシャツを剝いでいく。すっかりその気になってしまったようで、また起き上がる僕の乳首に誠人の舌先が絡みついた。この場所がこんなに気持ちいいだなんて、誠人に教わるまで微塵も感じたことがなかったのに。 「ン…っ、まこ、はぁっ…きもち…いい…」 「ゆうのここ、すぐ分かるようになったな…いっぱい吸ってやるからな」  上半身剥き出しになった僕の胸元や腹で、誠人の指が、舌先が、唇が踊り出す。抑えられなくなった声が絶えず漏れてしまって、誠人の理性もぐずぐずに蕩けてきているようだ。濡れた乳首を指先でこねくり回され、腰が浮いてしまう。パンパンに天幕を張った誠人の白いスラックスが目に入って、彼も相当興奮していのだと思うと嬉しくなってしまう。 「まこ、苦しいでしょ…?いつから…」 「はは…おまえが俺の口の中でイッた時から……かな」  誠人が自分の着ているスラックスとジャケットを脱いで、ワイシャツを剥ぎ取るようにむしり取った。僕の上で素肌にネクタイが揺れて、たまらなく…色っぽい。誠人の手が僕の背中に回ってきて、お尻の辺りを弄られたらいやらしい水音が聞こえた。 「ゆうのここ、ぐちゃぐちゃになってる…なんで、こんなに…」 「っ、まこに舐められたから…ここ、凄い気持ちよくて…それで、いつもの思い出しちゃって」  誠人にはナイショにしておきたかったのだけど、それもできないくらいに彼を求めてる…誠人の指先が入って、ゆっくりと前後に動かされ始めた。まさか結婚式のすぐ後に、こんなにも求められるなんて想像しなくて、心臓が爆発しそうだ。 「…あれ、なんかコリコリしてるなぁ…?」 「そこはっ、あっ、だめだよ、まこ、ひぃんっ、あぁぁぁっ!」  わざとらしく言いながら半ばまで入ってくる誠人の指が、僕の中を掻き回していやらしい水音が聞こえた。それだけでまた、せりあがってくるようで… 「あぁぁっ…!まこっ、そこは…いつもおかしくなるからっ…!ぬ、抜いて、よ、」 「そんなこと言ったって、ゆうが離してくれないんだ…それとも、違うのが欲しいのか?」  まこがにやりと意地悪な笑みを浮かべる。今まで何度もその顔に、散々啼かされてきたんだ…。 ✕   ✕   ✕   ✕  噎せ返るような深友の匂いに、俺までおかしくなりそうだった。  「っ、はぁっ、おく、きてる…」 「自分から腰振るなんて、イヤラシイな…ゆうは」  深友が俺の上に跨っている。  今まで何度も身体を重ねたけれど、騎乗位はおかしくなるから嫌だとずっと断られ続けていた。目の前の光景が信じられなくて、それでも現実に奴は俺を中に迎え入れ、時たま意識を飛ばしながら何度も何度も腰を動かしていた。隙を見て俺が腰を突き上げると、無防備な肉壁にぶつかり深友があられもない声を漏らす。口を塞がないように俺のネクタイでゆうの両腕を緩く縛ったら、声を抑えるために俺の着ていたワイシャツを両手で握りしめ、口を覆って鼻で息を吸う度ビクンと奴の肩が揺れた。  俺の腹の上はゆうが零した精液と透明な体液でびしょ濡れだ。息が苦しくなったのか、涎が沁みたワイシャツを放ると深友はそこに手をつき、俺の身体に塗り込むような仕草で自分の放ったモノを指先で拭った。俺が何度も深友の中に放ち、ぬかるみ、生温かくなったゆうの中は最高に気持ちいい。ここから抜けるのが嫌になって、何度も何度も深友の奥を侵していく。中で擦れ合ういやらしい水音が次第に大きくなり、ぱちゅぱちゅと肉同士がぶつかりあう音も紛れて鼓膜からイキそうになる。  でも、こんなになるのはこいつが相手だからだろう。 「ふぁっ、まこ、んっ、あ、ふぅっ…」 「その声、俺だけに…っ、聞かせろよ…!」 「とーぜん、だろっ…僕だけの…旦那様なんだから…」 「くっ、中、締め付けるな…!」  何度目かわからない、まこの頂点を感じる。  まこの腹の上に置いた両手にふと視線を落とす。左手の薬指に嵌めた結婚指輪が視界に入り、この上なく幸せだ、と僕は目を瞑って熱い息を吐いた。 ×   ×   × 「…もう、服ぐちゃぐちゃじゃん…」 「それはお互い様だろ?クリーニング代は折半な~」 「えっ?もうお財布ひとつにしてるじゃん」  キングサイズのベッドの上で横になり、俺の腕枕に頭を預けた深友が笑った。未だにサラサラとした柔らかいこいつの髪は擽ったくて、俺の脇の下を掠めると思わずヘンな声が出そうになる。  レンタルしてバシッと決めたタキシード姿の深友に欲情してしまった…のは大いに反省するとして、ぼんやりと気だるくも多幸感でいっぱいになったこの気持ちを隠せる筈もなく。 「新婚旅行、何処に行こうか」 「うーん…海外は高いし飛行機恐いもんなぁ」 「船旅、って手もあるじゃねぇか」 「いいね!そしたら豪華客船の甲板から、ボトルメール投げようかな」  実に嬉しそうに深友が話しているので、俺はただその弾ける笑顔を見つめた。高校の修学旅行の時、こいつはどんな気持ちで船からボトルメールを投げたのだろう。…今となっては、もう遠い過去の記憶だろうけれど。 「なら、またそのボトルは俺が拾うからな。手紙には何て書くんだ?船橋深友さんよ」 「っ…それは…その……」  口籠る僕を、誠人はじっと見つめている。何を書くかなんて、たったひとつしかないだろ?  あの頃の自分と、最愛のヒトに向けた手紙。 『高校生の僕と誠人へ。今、僕たちは同じ船に乗っているよ』 おわり
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