初めての温度(R-18)

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初めての温度(R-18)

 晴れて付き合い出してから、数日経ったある日のこと。 「なぁ、まこ」 「ん?」  俺の部屋で雑誌を読んでいた深友が、唐突に顔を上げてこちらを見た。何だか恥ずかしそうに耳を赤らめ、目が合うとこっちを真っ直ぐ見ることなく視線を逸らしてしまう。 「…どうしたんだよ」 「えっと、その…え、…っ…」 「んん…?」 「その…したいって思ったこと、ない?」 「したいって、何を?」  何となく奴が言おうとしていることを予想して、思わずニヤリと笑ってしまう。まだキスしかしたことがないからか、焦っているようなその言葉。色々調べると言ったのは事実で、その為に購入した雑誌を今は深友が手に持っていた。 「…分かっている癖に」 「ふふ…何のことか教えてくれよ」  雑誌には、言ってしまえば...男同士で愛し合う方法について、詳細に渡り書かれているコラムがあった。用意するもの、手順、お互いが満たされる方法、かつ男が知らない男の身体構造まで事細かく初心者に分かりやすい内容のものだ。そのページを食い入るように読んでいる姿が、さっきから視界に入って少しばかりドキドキしていた。 「…えっち」 「へ?男はみんな変態だろ」 「そうじゃなくてっ…!僕と…」 「セックスしたいに決まってんだろ」  何を今さらとでも言うようにさらりと言うと、深友の顔は瞬く間に赤く染まった。反応が昔から変わらなくて、思わず可愛いなぁと口に出てしまう。 「それじゃ…ど、どっちがどっち?」 「それは流れに任せようぜ。……おまえはどっちがいい?」  何か迷うように口籠る深友のすぐ隣に座って、耳朶で囁き掛ける。耳元や背中、乳首が弱いことを知っていたし、昔からドMであることも分かっていた。 「…深友、もしかして…童貞?」 「わ…悪いか…」 「ん?なんだよ、言ってみろ」 「その……勃たないから」 「……なら、俺に見せてくれ」  そんなことを言われてしまえば俺が我慢できなくなることを、こいつは分かっているのだろうか。俺は無意識のうちに深友の身体を抱き上げて、ベッドに押し倒していた。  ✕   ✕   ✕ 「…っ、まこ、」 「ん?」 「どうしよ…心臓が爆発しそう」 「ははっ!それは困るな」  深友の腰に跨り、震える指先で深友の着ているシャツのボタンを上から外していく。誠人はくらくらと強い眩暈がしそうなくらい、自分の心臓が早鐘を打っているのを実感した。キスは何度となくしているのに、身体を重ねたことは一度もない。それは彼の貞操を護りたかったのと、彼が嫌がることはしたくないという誠人なりの誠意だった。高校生の頃に起きた、じゃれあっている最中の事故を何度も思い出す度、その時に深友が浮かべた表情が忘れられなくなる。その思い出を掻き消すように誠人は深友の白い肌を指先でなぞり、顔の輪郭から首筋、鎖骨、胸元まで這うように滑らせた。 「っ…!」 「やっぱりここ、弱いんだな」 「くっ、知ってるくせに…こないだだって玄関で」 「あれはおまえからおねだりしてきたんだろ」 「そん、なっ…あ、つよい、駄目だって…」 「んな声出すなよ。……もっと弄りたくなるから」 「…っ…い、良いよ…たくさん、触って」  恥じらうように深友が言うと、誠人は自分の着ている服とズボンを乱暴に脱ぎ、深友のズボンに手を掛けた。下着一枚だけ残したのは、罪悪感を払拭したいから。サラリーマンではなく、心の奥で燻っていた職人の仕事がしたい、という決心を目指して身体を鍛え直した誠人の肉体は、30歳を手前にして学生時代の頃と同様に引き締まっていた。深友はあの頃に比べて肉付きが良くなり、それなりに筋肉もついているがまだ柔らかい。そして顕著なのは、胸板がやや厚いこと。それも筋肉質と言うより、柔らかい乳房のような触感だった。 「はぁ…柔らかい…ゆうのおっぱいだ…」 「ふっ…そんな風に揉まれると、なんか変な感じがする…」 「なぁ、知ってるか?男の乳首って…性感帯としてしか存在理由がないんだってさ」 「ははっ、それ、僕も読んだよ。君のも…触らせて欲しい」 「ん」  誠人が腰を落として近づくと、深友が誠人の胸元へ手を伸ばし人差し指で胸元を突く。その指が薄い色の先端に触れると誠人の表情が一瞬揺らぎ、はぁ、と深く息を吐いた。 「…まこもここ、弱いじゃん」 「わかってるけど…お前程じゃないからな」  仕返しにと深友の乳首を摘まみ、引っ張ったり指で弾く度に深友の声が大きくなる。誠人は自分の唇で深友の声を閉じ込め、焦らす様に手の動きを遅くした。唇を離すのと同時に手を止めれば、酸欠で涙目になった深友が誠人を見上げる。 「はぁっ…まこの心臓も凄く早くなってる…!」  股間に当たるそれの感触を強く感じると、深友の顔がひと際赤く染まった。 「…当たり前だろ。おまえのそんな声聞いてたら我慢できなくなるっての」 「あっ…!」 「…ゆうのも硬くなってる。俺に、興奮してるのか」 「そうだよ…だって、大好きだもん…まこのこと」  涙目で上目遣いに誠人を見上げ、胸元に当てていた手を下ろして誠人の張り詰めた箇所に触れる。僅かに湿っているそこを擦るように下着をずり降ろし、先端を数度突いて反応を確認した。 「…まこの、でっかい…!」 「うっ、うっせ…別に、そうなりたくてそうなったワケじゃ…」 「でも、こんなでかいの…入るかな」  誠人が深友の腰に手を回して、最後に残った下着を脱がせる。深友の股間も緩く起立しており、彼は恥ずかしそうに誠人から視線を逸らした。 「入れて欲しい?」 「あっ、えっと…興味はある、かも…実は準備、してきたんだ…」 「…なら、全身の力を抜いて。指、入れるから」  誠人が深友の雄の先端を緩く扱き、溢れた先走りを指先に絡めた。次いで深友の尻に手を伸ばし、彼の秘部を指の腹で撫でる。深友はか細い悲鳴を上げ、つぶ、と音を漏らしながら訪れる圧迫感に目を瞑った。 「っ、かなりやわらかいな…でも、きつい…痛く、ないか?」 「うん、だいじょうぶ…っ、そこ、だめ、」 「ここか?」 「ふぁっ⁉」  悶絶する深友の表情に、指先をやや先に進めて深友の内壁をなぞる。隆起している箇所を撫でるとひと際甲高い声を漏らし、更に股間のそれからはぴしゃ、と透明な液体が漏れた。 「はっ、あぁ、ごめ、まこ…」 「ううん…いい?」 「…いい、…頭がおかしくなるくらい、気持良くして」  深友の言葉を聞いて笑みを深め、誠人は指の抽挿を速めた。初めは喋る余裕もあったが、次第にそれすらできない程に深友の嬌声が大きくなる。堪らず指を引き抜いた誠人は深友の両足を持ち上げ、秘部に滾る自身を宛がい狭い入口に侵入していく。 「…あっ…やっぱりでかい…!」 「うぁっ…ゆうの中…あったかい、」  一度入ってしまうと、あとは歯止めが利かなくなった。誠人が奥まで入れると深友は自分の手で口元を押さえ、漏れる出てしまう声を必死に抑えようとした。色の濃くなる嬌声に耐え切れず、誠人は更に深友を高みへと追い詰めていった。 「あっ、あ、まこっ、おく…!」 「はぁっ…ゆう、もっと、善くしてやるから…っ」  頭の中が真っ白になる感覚と共に、誠人は思い切り腰を引いた。自身から吐き出される白濁が深友の腹に零れ、深友のそれもまた色の薄い体液を漏らす。 「ッ、…はぁっ、はぁっ......」 「…うぅ…」 「あっ…深友、大丈夫か…?」 「ん…は、恥ずかしいから見ないで…」  赤く染めた顔を両手で覆い、恥じらう様子の深友の顔を見たくなった誠人は深友の横に寝そべった。  深友は自分の腹を濡らす白濁を指で掬い、じっと見た後舌先で舐める。その様子を見ていた誠人は顔から火が出そうな面持ちで深友のすぐ側に寄る。 「ゆう、こっち。見て」 「……ん…」 「どうだった?」 「そんなの、言わなくてもわかるだろ?」  むっとした表情を浮かべ、誠人の頬にちゅっと軽くキスを落とす。この上なく幸せだと思いながら、誠人が深友の腰に手を回し抱きしめた。
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