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「彦田君さ……、なんなんだよさっきから。たとえ一般論はそうだとしても、人それぞれだろ?」
「……は?」
「まして男と女なんて、いろんな形があっていいんだよ、別れた夫婦が再婚するなんて話もざらにあるんだぞ。絶対ないとか可能性0とか過去を蒸し返すなとか、勝手なことばかり言いやがって。新しい恋愛なんて、何度もしてるって、してるけど、燻ってるんだよ、ずっと」
「え」
「……仕方ない、どうやったって会わないと気が収まらないんだから、行くしかないか」
「かっ、かっ、加納さんの話なんですか!! まさか! 人の話とか嘘吐いちゃって!」
「バカだな、『人の話なんだが』と話を切り出された時は、大抵、目の前にいる本人の話なんだよ、覚えとけ彦田君」
「加納さんのガチ恋、じゅ、十年前に別れた彼女忘れられない!? そんなの、俺に聞くことじゃないですから!」
「たしかに人に聞くことではないな。でも彦田君に小馬鹿にされたおかげで もうどうでもよくなった、吹っ切れたよありがとう。俺、行くとこあるからここで。じゃあな」
「えっ、えっ、すみません、えっ?」
会えばわかるさ、
それでダメなら諦める。
「…………うわ、うわわわわやばいやばい、震える、なにその戦闘態勢、俺が惚れてしまいそうなくらい格好いいんですけど!!
行くってどこに行くんですか!?」
「────コーヒーショップ」
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