12月31日 side A

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 この時期になると、どうしても思い出してしまうんだ。  思い出すな忘れろ、って方が無理な話で。  だって12月31日は彼女の誕生日で、その年の最後の日が来ると必ず、 〝そういえば誕生日だな〟って、思わずにはいられない。  自分の誕生日は忘れても、雪妃の誕生日だけは、勝手に頭に浮かんでくるんだよ。  なんでこんな日に生まれたんだ。  もう少し中途半端な日が誕生日だったら、思い出さずにいられたのに。    頼むよ、雪妃、俺を幻滅させてくれ。  あれ? こんな人だったか?  なんか思ってたのと違うって、こんなにも変わってしまったのかと、全力で打ちのめしてくれ。  三吉雪妃という名前を聞いてももう、動揺せずにいられるくらい。大晦日がきても、 余裕でスルーできるくらい。  二度と会いたいなんて思わないように。 『もう少し大人になってから出逢いたかった』  言われた当時は、憤りを感じてどうしようもなかった。  辛くて、雪妃の顔を見れなかった。  だって俺は、いつ出逢うかなんて関係なかったから。  この人に出逢えて良かったと ずっと思っていた。雪妃は一生モノの相手だと思っていたから。  けど不思議だな、あの頃憎んだその言葉が、今は、俺の背中を押してくれる。  俺たち いいかげんもう、大人になっただろう?  もうそろそろ いいんじゃないか?  もう一度だけ、俺と出逢ってほしい。
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