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-----------ガチャ
いつもより遅い時間。
家のドアが開いた。
私はすぐさま、玄関に向かうと。
「っ、蓮斗さん、おかえりなさい」
──────その声は震えた気がした。
あぁ、蓮斗さんに、
『おかえりなさい』を言うのも最後だと。
そう思うと、身体すら震えそうな気がする。
(どうか、バレませんように.........っ、)
そう思っていると..................
「ん。美里、ただいま」
蓮斗さんは〝何も〟気づいていないように、
ニコッと笑って、私の頭にポンッと手を乗せた。
蓮斗さんは、
結婚したフリをした日からいつもそうだ。
〝ただいま〟という、
言葉と共に、笑って頭を撫でてくれる。
これじゃ、
夫婦というより兄妹のような構図だけど。
それでも、
蓮斗さんに撫でられるのが好きで。
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