もう2度と、

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(斗真っ、手を離してっ、) 声にならないまま、心の中で発すると。 「俺さ、元カノ引きずってんの」 私の目をしっかり見てそう言う斗真。 「...............もと、かの、」 私も元カノの1人だけど............... 私であって、欲しいって思うのに。 私じゃないって、心のどこかで思っている。 ほんの少しドキドキしながら、 斗真の言葉を待っていると............... 「俺、お前のこと忘らんなかったんだけど」 斗真の熱を帯びた瞳に見つめられて息が詰まる。 「...............っ、」 いま、〝お前〟って言った.........よね? 待って、この場には私と斗真しかいない。 私は私。 〝お前〟は、一人称じゃない。 つまり..................私?
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