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写真には背景に時計塔が写っていた。場所を割り出すのは容易だ。まだそこにいるかは別にして、手掛かりにはなる。送ってきた者もそれをわかっているからこの写真を送りつけてきたのだろう。東雲はそう納得して寮の自室を出る。
その後ろ姿に声をかける人物がいた。
「東雲一尉、お早う御座います。お出かけですか?」
東雲が振り向くと、そこに居たのはきっちり足を揃え敬礼をしているストレートの黒髪をショートボブに切り揃えた漆黒の瞳の女性。目元はきりりとしており、見ている人にきつい印象を与える。
「辻本三曹。まあ、そんなところだ」
「そうですか。お気をつけて」
辻本と呼ばれた女性はそう言って一礼する。東雲はそれを受けて無言で敬礼を返した。辻本は無表情の中に少しだけ嬉しそうな表情をする。東雲はそれに気づかず、歩みを進めた。
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