初恋

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初恋

俺、(ひろし)は、人生で初めて恋をした。 ひとつ上の先輩名前は和葉(かよ)。 その人のことで頭がいっぱいになってもっと俺を見て欲しくてたまらなかった。 好きになったきっかけはバンドの部活での先輩後輩だった。 でも俺が入って2ヶ月後先輩は部活を辞めた。 結構仲良くてワイワイ話してたんだけど急に辞めた。 その前に先輩は事故を起こした。トラックに轢かれたんだ。 記憶もなくし手に後遺症を残しギターが弾けなくなった。 無理してるのは目に見えた。毎放課後みんなに隠れて一生懸命頑張ってるのは俺だけ見てた。 先輩は部長だった。辞めたくなかったはずだ。 責任感の強い先輩だったから余計だ。 ある日先輩を裏庭に呼び出して告白をした。 「和葉先輩……好きです、付き合ってください。」 「寛くん……ごめんね。」 そう言って走り出した。 俺の儚い恋は儚く散っていった。 それから先輩は見かけなくなった。 風の噂によると自殺未遂したと聞いた。 そして先輩の入院している病院の名前を聞いた。 この街でいちばん大きい総合病院だった。 先輩は綺麗な姿で眠っていた。 でも左手を手に取ると手首から腕にかけてリスカの跡が沢山あった。 俺は気づいてあげられなかった。 先輩の苦しみに辛さに。 「先輩……。ごめんなさい、気づいてあげられることが出来なくて……。」 「ひ、ろしくん?」 「先輩……。ダメじゃないですか。もっと頼ってくださいよ。」 「ごめんね、心配ばっかりかけて……先輩失格だね……。」 俺は涙が止まらなかった。目覚めたことが嬉しかった。自傷気味に笑う先輩の心が少し見えたことに。 その日から俺は毎日通った。 最初はぎこちなかった先輩だったけど、また昔のように笑えるようになった。 俺はギターを持って先輩の前で歌った。 すると先輩も歌ってくれた。この歌はバンドのメンバーしか知らないオリジナル曲なのに。 「先輩……もしかして……。」 「記憶……戻ったみたい、へへっꈍ .̮ ꈍ」 「よっしゃー!」 「ありがとう😊寛くんのおかげだよ。」 「俺はなんもしてないですよ。全部先輩が頑張ったからできたことで。」 「今更なんだけど、しかも1度振ってる私だけどさ、付き合ってくれない?」 「えっ、俺でいいんですか?」 「いいんですかじゃなくて寛くんがいいの……。」 「絶対幸せにしてみせます。」 数年後……。 「寛和(ひろか)ー!こっちおいで!」 「パパー、ママー。」 寛和という可愛い娘ができた。 もちろんママは和葉先輩だ。 「ひろくん大好きだよ〜!」 「和葉愛してる。」 そして頭にキスを落とす。 俺は死ぬまで和葉を愛してる。
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