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魔法の仕組み
「リル、あそこの棚の上から三番目の右から二番目の本取って」
『かしこまりました、主殿』
リルに持ってこさせた「魔法の仕組み」を受け取ると、代わりに今しがた読み終わった歴史書を渡し、元の場所に戻すよう命じた。
この本を読もうと思ったのには理由がある。
それは、俺が扱う魔法と母さんの扱う魔法では、何もかもが違うからだ。
母さんの魔法を見るに、どうやらこの世界の魔法は決められた呪文や形式があるようで、俺が三年前リルと戦った時みたいなイメージだけでどうにかなるもんじゃないらしい。
例えるなら数学みたいなもんなのだろう。
数式が魔法の構築に必要な呪文。
数字が魔力なのだと、あらかた予想している。
そして、その推測は殆んど正解だったみたいだ。
「ふむふむ、なるほど。 つまり魔法を発動するには、魔法ごとに決められた詠唱を唱えながら魔力を注入して、最後に魔法名を言葉にしなきゃならないのか。 うーん、なんというか……」
随分と無駄が多い。
プロセスがごちゃごちゃし過ぎてる。
「俺みたいにイメージするだけで使えたら良いのにな。 そしたら詠唱なんて唱える必要もないのに」
呟きながら、俺は光のオーブを魔法で作り出し、それを左手でコロコロ転がす。
そこへ、リルが。
『主殿、そろそろお時間ですぞ』
「ん? なんかあったっけ? 今日は家庭教師来ない筈だけど」
『アンドリューめから昼前には書斎に顔を出すよう言われていたと記憶しておりましたが……』
ああ、そういえばそんな事言ってたような。
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