魔法の仕組み

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「ありがと、すっかり忘れてたよ。 んじゃ行こっか、リル」 『はい! 主殿!』   「あっ、また乗っても良い? 子供の足だと書斎はちょっと遠いんだよね」 『勿論でございます! わたくしは主殿の忠実なる僕! いつでもお乗りください! はっはっ!』  あの時、リルを殺さなくて正解だった。  お陰でこのクソデカイ屋敷をひたすら歩かなくても良くなったからな。  本当に助かる。  ペット最高!  コンコン。  父さんがいつも仕事に使っている書斎の扉をノックした俺は、続けて子供特有のキーが高い声で、父さんに話しかけた。 「父さん、居る?」 「待ってたよ、リュート。 入りなさい」 「はーい。 んしょ」  くっ、ドアノブの位置が高い!  これだから子供の身体は。 『主殿、ここはわたくしめが……』 『子供扱いするな! こんな扉、俺一人で!』 『ですが主殿の身体はまだ子供……』 『ああん?』  殺さんばかりの眼力を飛ばすと、リルはスゴスゴと下がっていった。  そんなリルを横目に、俺はようやく……。 「はは、ごめんごめん。 リュートにはまだ高かったよね。 ほら、開けてあげたから入っておいで」  もう少しで開きそうだったのに。  父さんめ、許さん。  今度紅茶に香辛料仕込んでやる。 「父さーん。 ドアノブにヒモとかつけといてよー。 どこのドアもドアノブ高いから開けにくい」 「それは別に構わないけど、リュートなら浮遊魔法を使えば届くんじゃないかい?」 「…………ハッ!」  そうだ、そうだよ。  浮遊魔法使えば良いんじゃん。  アホか、俺は。
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