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「私の息子に……」
「あれは……いかん!」
「一体何をしているのですか! 断罪の雷よ、我が怨敵を打ち砕け! ライトニングブラスト!」
「え……?」
ちょ、母さん!
ああもう!
群衆に向かって真っ直ぐ飛んでくる稲妻。
相手が領民だと言うのが脳裏にあるからか、殺傷能力は抑えられているものの、危険には違いない雷撃から村人を守ろうと、俺はお姉さんの腕に抱かれた状態で、咄嗟に魔法を生成する。
「嘘……あれって、魔法!?」
「きゃああああ! すいませんでした、マリア様! どうかお許しを! つい出来心で悪意があったわけでは……って、あれ?」
「なんともない?」
ふう、なんとか間に合ったか。
属性は時。
構成は阻害空間。
範囲は前方。
これらから生成した、どんな魔法も無効化する対魔法用時空結界魔法ディメンションで、母さんのライトニングブラストの破壊に成功。
お返しに俺は、魔属性。
魔力阻害構成。
範囲指定の封印魔法、サイレンスで母さんの魔法を一時的に封じ、
「あら? 魔法が……」
父さんにも物理攻撃を緩和する結界魔法を付与しておいた。
よし、これで少なくとも村人に被害は出ない。
後は……頼んだ、父さん。
「まさかこんな魔法まで使えるなんて、リュートちゃんは本当に凄いわねぇ。 お母さん、惚れ惚れしちゃう。 それに対して貴方という人は……」
「ま、待ちなさいマリア! 話せばわかる! まずは話し合おう! だから待っ……!」
「問答無用!」
「ぶっ!」
その日以降、村にはこんな逸話が語り継がれるようになった。
言うこと聞かない悪い子は聖母様にひっぱたかれる、という逸話が。
なんとも情けない口伝に、時期領主である俺は恥ずかしさを禁じ得ない。
「皆様、この度は大変ご迷惑をおかけしました。 我を忘れたとはいえ、領民の方々にとんだご無礼を……」
「いえいえ! アンドリュー様が守ってくださったお陰でなんともありませんので、どうか頭をおあげください、マリア様!」
なんか知らない内にそういう事になった。
まあこんな子供が高位魔法使いである母さんの魔法をどうにか出来るとは思わないだろうから、同じくらい強い父さんがどうにかしてくれたと思うのが妥当か。
「そもそもは、わたくしどもがリュート様に失礼をしたのが原因。 親であれば子を心配するのは当然と思います。 ですのでお気になさらないでくだされ。 お前達もさっさと謝らんか!」
「「「すいません……」」」
お互いの誤解が解け、なんとか仲直り出来たみたいでよかった。
過保護な母さんが来た時はどうなる事かと思ったが、案外なんとかなるもんだ。
父さんの犠牲に感謝。
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