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従魔契約
「ガアァ!」
うーん、困った。
なかなか警戒を解いてくれない。
力量差を思い知ったからかもう戦う気はないようだが、大人しくなる気配は一向に感じられない。
回復してあげたとはいえ、あれだけボコボコにしたんだからまあ、こうなるのは当然だけど。
せめて話だけでも出来ればな。
「さっきはごめんよ、殴っちゃって。 でも止めるにはああするしか方法が無かったんだ。 都合が良いとは思うけど、許してもらえないか?」
「…………」
おっ?
なんか急に大人しくなったぞ。
もしかして……。
「お前、人間の言葉がわかるのか?」
コクリ。
おお、ちゃんと意志疎通出来てる。
こいつは重畳。
これならなんとかなりそうだ。
「もう分かってるとは思うけど、俺はただお前に大人しくしていて欲しいだけで、殺す気なんてさらさらないんだ。 お前だってまた俺と戦うなんて、こりごりだろ?」
「…………」
ドラゴンは俺の目をジッと見つめると、次にヴィクターとメリッサに視線を向けた。
「な、なによ……」
「……ガフッ」
俺に対する態度と、ヴィクターとメリッサに対する態度はまったくの真逆。
明らかに舐めきった目をしている。
まあ、あれだけやって太刀打ち出来なかったんだ。
舐められても仕方ない。
「チッ……」
本人も自覚しているようで何より。
冒険者は実力社会。
ヴィクターもそこら辺はちゃんと弁えているのだろう。
これで俺に対する態度も緩和すると良いんだが。
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