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「…………! カズトさん!」
「え、なに?」
「下! 下見てください! 足元!」
「は……? 足元? 足元に何が…………うおっ! なんじゃこりゃ! 魔法陣!?」
言われた通り目線を下げてみると、魔法陣が出現していた。
魔法陣の色は赤。
赤色の魔法陣は攻撃魔法を指す。
「まさか、攻撃まほ……!」
「お……落ち着いてください、カズトさん! それ、攻撃魔法じゃありませんから!」
そんな訳あるか!
「はあ!? 攻撃魔法じゃないなら何で赤いんだよ! 赤色は攻撃魔法の証拠だろ!?」
「よーく見てください! その魔法陣、魔物のマークがついてますよね!」
はい、ついてます。
「それが描かれている魔法陣は、世界にただ一つ! 従魔契約の魔法陣だけなんです!」
「あ、そうなの? 俺はてっきり攻撃魔法かと……で、その従魔契約ってなに?」
「簡単に言いますと、魔物を使い魔にする時に使用する魔法陣ですね」
いわゆる、テイムってやつか。
「詳しい説明は省きますが、その魔法陣があれば神竜様と契約することが可能なんです。 しかも今回は向こうからの契約申請なので、契約は確実! なのでちゃちゃっと契約して、神竜様を使い魔にしちゃいましょう! これを逃す手はありませんよ、カズトさん!」
「あ……ああ、わかった。 ……でも俺、契約のやり方とかわかんないんですけど」
「えっと……やり方も何も、魔法陣にカズトさんの魔力を流し込むだけですが……」
それだけ?
思ったより簡単だな。
「よーし、んじゃいっちょ神竜と契約するとするか!」
と、魔法陣に魔力を全力で注ぎ込んでいると。
「あっ、そうそう。 魔物の魔力より魔力を込めないで下さいね。 何が起きるかわかりませんから」
「え……」
早よ言え。
「あの……もうかなり注ぎ込んじゃったんですけど……」
「ギャオオオオオン!」
やべえ、ドラゴンが怪獣映画の怪獣が如くの雄叫びを上げている。
大丈夫なのか、これ。
「と、止めてください! はやく!」
「……ご、ごめん。 終わっちゃったかも」
メリルが叫んだ時には既に魔法陣は紫色へと変貌し、魔法陣の範囲も拡大。
俺とドラゴンをすっぽり囲んだ魔法陣は一瞬発光すると、跡形もなく消えてしまった。
とりあえず、俺の身体に異変はない。
魔力も特に異常は無いし、ひとまずは問題なさそうだ。
……俺は。
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