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「カズト、あんた結構やるじゃない。 あのバカよりよっぽど気に入ったわ。 金になりそうなクエスト見繕っとくから、今度一緒に稼ぎましょ。 んじゃね~」
「あ、ああ……」
最初の頃の印象と比べてだいぶ雰囲気が変わった気がする。
それだけ俺の力を認めてくれたって事か。
「カズト、お前は帰らないのか? まだ何か報告が?」
さっき報告したのは所詮、エンドラが攻撃的になった理由のみ。
話にあった例の謎の一団がエンドラの眠りを妨げ、怒り狂ったエンドラに砦跡で無惨に殺された、という一連の事件を報告したに過ぎない。
ここからがむしろ本題だ。
「ガルさん、これが何かわかるか?」
机に置いたのは、砦跡で見つけたワイヤレスイヤホンに似た魔具。
ガルさんはそれを手に取り観察すると、神妙な顔つきで尋ねてきた。
「これをどこで……?」
「……エンドラを捕えようとして逆に殺された奴らのアジト。 つまり、砦跡だ」
「…………」
何か心当たりがあるのか、ガルさんは少し考え込む。
そして数秒も経たない内に、こんな事を言ってきた。
「カズト、今から話す事は他言無用で頼む」
「ああ、もちろん。 ここだけの話に留めとく。 なんなら血判状でも用意しようか?」
「ふっ、構わん。 お前の事は信じているゆえ、そこまでする必要はない」
嬉しい事を言ってくれる。
俄然、口を固くせざるを得ない。
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