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「ここ、どこ? 森……? それにしては妙に生活感があるような……ねえ、お兄ちゃん。 この場所って……」
「エンドラ、話は後だ。 悪いけど、上空から偵察してくれないか? 平原と近くの村の状況を知りたい」
「ん、りょーかーい」
相変わらず緊張感の欠片もない返事をしたエンドラは、竜化し、上空へと飛んでいった。
その光景を余所に、俺はアイテムボックスからこういう時の為に用意しておいた、偽装用の衣装。
暗闇に溶け込める漆黒のフード付き上着と衣類や手袋を取り出し、手早く着替えていく。
エンドラが戻ってきたのは、準備を整え、フードを被った頃合いだった。
「ただいまー……って、なにその格好。 最初誰かと思ったよ」
やはり竜形態だと喋れないようで、エンドラは降りてくるなり竜人形態へと変態。
ロリっ娘と呼ぶに相応しい容姿で、ケラケラ笑う。
「色々事情があってな。 貴族の息子として戦う場合は、こうして姿を隠さなくちゃならないんだ。 だから笑うんじゃねえ」
「ふーん。 なーんか人間ってめんどくさそー。 ドラゴンに生まれて良かったー」
「……で、状況は?」
「ああ、それなんだけどさあ。 あの村もう駄目かもー。 この国では見たこともない魔物が押し寄せて来ててさ、一応バリケード作って応戦してたけど、突破されるのも時間の問題だと思うよ」
おおかた、リルの話通りか。
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